ウォークマン
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日本企業が再生するためには「デザイン力」が必用であるとこれまで書いてきました。iPodにその市場を奪われてしまったSonyもやっとそのことに気がついたように思います。日本のウォークマンは数十年の歴史があり、音質については優れたノウハウがあり、アメリカのiPodには負けないはずです。しかしその勝敗を決めたのは、アップルの持つ企画力とデザイン力だったのです。日本人は真面目ですから著作権の保護などにも配慮します。MDやウォークマン用に開発した音楽データ圧縮技術のATRACがいい例です。ソニーが著作権に配慮し、もたもたしている間に、世界の趨勢はmp3によって著作権フリーで誰もが自由に音楽を楽しめることになっていたのです。ときとして日本人の真面目さは裏目に出ることがあります。「ルールを守らなければならない」「他の業界にも配慮しなければならない」。そう考えている間に置いていかれたのです。これはウォークマンだけの話ではありません。あらゆる業界にもいえることです。これまでの日本は真面目さと勤勉さで経済成長を果たしてきましたが、これからの日本はそれだけではやっていけないのです。企画力、デザイン力、そして迅速さが求められます。世界の液晶テレビの販売数は、1位サムスン、2位LGと韓国勢に独占されてしまいました。台湾勢も台頭し始めています。ソニーは3位に後退し、液晶テレビを開発したシャープは苦戦しています。日本企業は再編していくしかないという状況です。VHSで世界市場を席巻した日本ビクターでさえケンウッドと統合してしまいました。昨年、ストックホルム空港にあったテレビがLG製品で、ホームスティをさせていただいたボンド宅では、「テレビはサムスンがいいよ」といっていたのは偶然ではありません。すでに日本製品は輝きを失いつつあるのです。
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「Aシリーズ」はソニーデザインがiPodに追いついた象徴的な製品です。「Xシリーズ」の優れたデザインと高音質技術は、まさにウォークマンの歴史をつくってきたソニーの意地を感じさせる力作でしたが、新シリーズで一挙に花開いたという感じです。特に「Aシリーズ」は魅力的です。
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アルミ素材と強化ガラスを切り出して重ねた薄さ7.2mm/軽さ62gのスリムボディは素晴らしい。かつてウォークマンは常に世界最小を目指してきましたが、「Aシリーズ」はそれを思い出させます。世界最小を競うことは技術の進化をもたらします。そこに64GBのメモリーを搭載し、デジタルノイズキャンセリング、フルデジタルアンプ、高画質2.8型ワイド有機ELディスプレイなどを搭載させました。
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これからの時代において、デザイン力は製品の最大の武器になります。日本の家電製品が「ダサイ」から「美しい」と進化することで、「クールジャパン」はより輝くのです。価格競争ばかりに追われて右往左往していてはならないのです。デザインによる付加価値を真剣に考える時代になったのです。つまり、これからの日本の発展のためには、国民のデザインへの意識が高まること、つまり教育の中で「デザイン」を育てる視点が必用であるということです。
by manabinomori | 2009-09-17 18:15 | オリジナルソング
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