教頭職について
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教育の仕事を33年間させていただき、一番大変だと思ったのは教頭の仕事です。特に大きな学校では心の安まる日がありませんでした。私たちの社会がそうであるように、学校というところでも様々な問題が発生しています。教頭は、それを敏感にキャッチし、校長に報告し、その対策を考え、すぐに実践していくことが求められます。もし、それを後回しにするようなことがあれば、取り返しのつかないことに発展することもあります。大切なのは、生徒、保護者、地域、そして職員の状況を適切に読み取る力であり、優れたバランス感覚なのです。それがなければ、あっという間に足元をすくわれてしまいます。大規模校における教頭の大変さとは、常にその緊張感の連続の中で生活しなければならないということです。教員時代であれば、疲れ果てても、少々のミスがあったとしても、それは自分の問題として解決することができます。しかし、教頭はそうではありません。そのことが学校の信頼に直接結びついてしまうのです。

ここ数年の傾向として、管理職への希望者が減少しました。同時に管理職をリタイヤして教員にもどる人が増えました。このことは、いかに教頭という仕事が激務であるかを物語っています。道立学校であれば、時には家族と離れることを覚悟しなければなりません。単身赴任にかかる費用だってばかにはなりません。そもそも朝早くから夜遅くまで学校を管理しなければならないのです。休むことだってままならないのです。最悪の場合、そりが合わない校長の下で働くことだってあり得ます。強い精神力がなければ務まらないのです。

だからといって、教頭職がつまらない仕事だとは思いません。学校のリーダーとして、子供たちのために、職員のために、学校の発展のために汗水を流すことは、とてもやりがいのあることです。教頭は、職員室の担任ともいわれます。特に近年はその傾向が強まり、職員の指導力が求められるようになりました。それだけに、職員にアドバイスし、その良さを引き出し、結果として生徒を成長させることができたときの喜びには特別のものがあります。また、PTA、同窓会、地域住民と交流し、そこから多くのことも学べます。何より、校長や事務長と一体となって学校を運営できるのは、教頭ならではの喜びであり、そのことが校長になったときの力になるのです。

私は教頭を5年間務めました。いま考えてみると至らないことばかりで、多くの皆さんに助けられました。そしていま校長5年目になります。わがままな校長ですから、本校の教頭は大変だと思います。特に今年は、「松前学」「書道教育」「国際教育」の本格実施、そして美術館との協定書調印など、私が松高の教頭であったなら、「勘弁してくれ!」と言ってしまいそうなぐらいの仕事量です。しかし同時に、そのことは教頭としてのやりがいでもあるのです。そんな状況の中で、吉田教頭は黙々と仕事をこなしました。もちろん職員も同様です。今夜行われた同窓会役員会では、松前高校の活躍についての賞賛がありました。とても嬉しいことです。それは、本校の教頭と職員の努力の成果です。それがあってのことなのです。
by manabinomori | 2010-12-20 23:49 | 雑感
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