今年で4年目になる道展U21は、関係者のご努力により、全道的な定着を得たという感じです。今回は高校ばかりではなく、札幌大谷短期大学部、道教育大学岩見沢校、北海道芸術デザイン専門学校等から多くの出品があり、作品の多様化と質の向上につながりました。
本展で最も印象に残ったのは、若狭ひかる「Tower」(おといねっぷ美術工芸高校)です。テーマや技術は言うに及ばす、この絵が私たちに働きかけてくる力には特別なものがあります。高校生の作品としては極めて芸術性が高いといえます。
次に印象に残ったのが檜山北高校の小西良枝「日常 その1」です。この作品はよく計算されています。そして作者の意図にまんまとはめられてしまいます。
瀬尾勇人「私と他人」(おといねっぷ美術工芸高校)も、独特の強さを持っています。ダリをオマージュしているあたりが憎いのです。
永川美保「さらば就活生、こんにちは社会人」(札幌大谷大学短期大学部)は、線や構図が生き生きしています。短大生らしい造形美があります。
福田亨「立冬」(おといねっぷ美術工芸高校)の風景は、緻密である以上に暗示的です。そして、この描写力は魅力的です。
伊東ちあき「青春カプセル」(北海道芸術デザイン専門学校)は、これまでにない創造力に満ちた作品になっています。カプセルの中の絵もまたいい。このような作品が新たな時代をつくります。これからが楽しみです。
佐々木友里花「Over flow」(札幌平岸高校)からは、優れた才能を感じます。既成の概念にとらわれない新たな表現が素晴らしい。