飛行機に乗っていても、京都の町を歩いていても、あるいはホテルの中でも、見学旅行中に頭から離れない曲があった。それは、エレクトリック・ライト・オーケストラの『ロンサム・ララバイ』(Lonesome Lullaby)だ。もう10年以上も前のアルバムに収録されていた曲なのに、なぜか毎日聴かないと気がすまない。旅行に持ち込んだウォークマンに入れておけば良かった。ジェフ・リン(Jeff Lynne)は、ELOを聴けば分かるように音に対するこだわりは半端ではない。彼はそのアルバムで、全ての曲を書き、自宅のスタジオを駆使し、ほとんどの楽器を演奏し、あのジョージ・ハリスンやリンゴ・スターまでをも一部にし、セルフ・プロデュース・アルバム「ズーム」(ZOOM)を完成させた。その最後を飾っていたのがこの曲だ。それ以降、彼は1曲も発表していない。つまり、この曲こそが彼が辿り着いた最終世界なのだ。