第88回道展を鑑賞しました。学校開放講座で関わった方が入選されているなど、懐かしい名前を発見することができました。嬉しいことです。さて、今回の道展は良くも悪くもそのベースである具象絵画への回帰という印象を受けました。その中で、女性作家からはその内面に迫ろうとする意欲を感じました。また、一緒に展示されていたU21の作品がことのほかフレッシュに見えました。以下、お気に入りの作品を紹介します。どれも素晴らしい!
「舞台装置−O氏に捧げる詩篇140−」木滑美恵
舞台では演じられる架空のドラマと演じている役者達のドラマが交錯する。本展で最も印象に残った作品のひとつです。
「こんな地球の片隅で」上野秀実
日常を深く見つめることによって、あるいは感性を磨き続けることによって生まれるものがあることを教えられます。
「引き合う力の形象」清武昌
抽象絵画が形骸化していく中で新たな世界を展開している。作者が生み出す色と形は全ての心とつながっています。
「入り口」金吉恵里
線を生かした描写と構図が新鮮で印象的です。抽象化された形が心地よい。
「restart」吉田誠
アクリル板、大胆な色彩、確かな描写力と空間処理、この作品には創造力の豊かさと瑞々しさがあります。
「くくる・る・る」佐々木詩子
絵画では表現できない空間や質感、そして色彩が美しい。ぜひ海外で発表して欲しい作品です。
「白昼夢」渡部万里子
会場の通路のような所にひっそりと展示されていた作品ですが、色彩を排しモノトーンでまとめられた物語は眠けを覚まさせます。