ガエターノ・ペッシェ
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BRUTUS 1989年4月15日号で「デザインの現在と未来。」という特集をしていた。古い雑誌なので捨てようかと思ってページをめくると、「万国の放浪者、デザイン界の一匹狼。」としてガエターノ・ペッシェ(Gaetano Pesce)が紹介され、「美的観点よりも、政治的、あるいは現実社会的な観点に重きを置くと公言するアーティストやデザイナーはそうはいない。思考それ自体が美しければ、生まれてくるものは、当然美しいのである。」とある。興味深いのは「今日の製品というものは、ひとつの名前の下には、すべて同質でなければいけない。そのための人間がベルトコンベアの脇に立って、異質部分を持った製品を取り除くという作業を続けている。人々も、均一に作られる製品がいい製品だという認識を持っている。」との指摘です。その傾向は今日に至ってもさらに強まっているように思われる。「私たちは一見皆似ているが、サイズも色も、背負っている伝統も地理的環境も違うわけだ。まったく同じ価値観というもの自体不自然だろう。同じイデオロギー、あるいはアイデンティティーを持つ必然性はどこにもない。」と明確に語っている。1939年、イタリアのスペツィア生まれ。ヴェニス大学を卒業し、建築、家具デザイン、絵画、音楽、パフォーマンス、フィルムと多様な表現活動を続けているようで、ヴェニスと多様な表現活動というあたりになぜか共感してしまうのは、ヴェニスを訪問したからだろうか。
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そのペッシェがデザインしたのが大阪市南船場にある「オーガニックビル」である。植木鉢のような窪みを壁面一杯に配し、「ヴァーティカル・ガーデン」と名づけられている。今度大阪を訪問した際には是非とも鑑賞したい。建物では初のグッド・デザイン賞(1994年)を受賞している。
by manabinomori | 2013-12-03 10:11 | 世界のアーティスト
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