彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも
彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも_b0108779_15153359.jpg
彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも_b0108779_15151193.jpg
私が20歳から25歳頃まで傾倒したのがマルセル・デュシャン(Marcel Duchamp)でした。彼はピカソと並び、20世紀の美術に最も影響を与えたアーティストの一人と言われ、現代美術に関心を持っていた私にとっては避けて通れない存在でした。特にこの『彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも』は、その意味ありげなタイトルと、ガラスに巧妙に描かれた「花嫁」と「独身者たち」によって私の好奇心を刺激しました。それらのパーツはデュシャンがそれまで描いたてきたものの集大成とも呼べるものであり、よく計算されています。特に下部の「独身者たち」は、騎兵、憲兵、召使い、デパートの支配人、ドアマン、僧侶、墓堀り人、駅長、警官と名付けられ、チョコレート粉砕器の回転へとつながっています。ここでは男性の動的なイメージが作られますが、それが「花嫁」と交わることはありません。「花嫁」は不安定なまま浮遊しているだけです。美術評論家に謎解きさせるかのようにチェスを楽しむデュシャンがやけに格好良く思えたものでした。
by manabinomori | 2014-01-03 08:16 | 世界のアーティスト
<< 大鐘楼(サンマルコ広場) 初めてのカメラ >>