ソニーを救う道
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昨日、ソニーは今3月期の連結業績予想を大幅下方修正した。そしてこともあろうか「VAIO」ブランドのパソコン事業売却とテレビ事業の分社化を発表した。ソニーファンの私にとっては、自分の身体の一部を切り取られるような思いだ。安倍総理が推進する円安政策の恩恵を受け、あのシャープが黒字に転じただけに、ソニーのこの赤字はその深刻さをより印象づけるものになった。そして、こんなことをしても抜本的な解決にはならないと直感した。

私にとってショックだったのは、2004年にサムスンとの液晶パネル生産合弁会社を韓国に作り、しかもソニーの技術をクロスライセンスで寄与してしまったことだ。そこには、サムスンが考えている企業戦略やライバルであるという意識が欠如していた。お人好しというか、何を考えているのだと私は怒り心頭だった。今や世界のテレビのシェアは、韓国サムスンと韓国LG電子が上位を独占し、ソニーはひたすら後退を続けている。最先端の技術力が求められるスマートフォンにいたっては、サムスン→Apple→LG電子の順であり、日本メーカーはその他に分類される始末だ。もちろんそこに使われている部品は日本製が多いのだが、それは日本が下請けの部品メーカーになってしまったことを意味する。そして昨日、「トリニトロン」で世界を席巻したソニーはVAIOを売却し、テレビ事業を切り離した。一つの時代の終焉と感じたのは私だけではあるまい。

この10年間はソニーにとって苦しい時代だった。だからこそソニーらしい製品を作り出そうという気迫が欲しかった。盛田さんのように秋葉原に出て自社製品がどのように扱われているのかをチェックするようなリーダーが欲しかった。赤字が出るたびにビルを売却し、人員を削減し、事業を縮小するという小手先だけで体裁を保とうとする姿勢からは、創造性はまったく感じられない。そもそも繰り返された子会社の吸収と組織再編が混乱の始まりだったように思える。今のソニーは時代の先を見ようともせず、見栄をはりつづける崩壊寸前の帝国のようでもある。ソニーの原点は、技術者が技術することに喜びを感じ、その社会的使命を自覚して、思い切り働ける職場を作ることであったはずだ。盛田が言ったように「ソニーは開拓者、その窓はいつも未知の世界に向かって開かれている。人のやらない事、困難であるがために人が避けて通る仕事にソニーは勇敢に取り組み、それを企業化していく。ここでは新しい製品の開発と、この生産販売のすべてにわたって、創造的な活動が要求され、期待され、約束されている。そして開拓者ソニーは、限りなく人を活かし、人を信じ、その能力を絶えず開拓して、前進していくことをただ一つの生命としている」だったはずである。それがソニーらしい創造的で魅力ある製品を生み出す力になっていたのである。盛田を尊敬していたスティーブ・ジョブスはその精神を見事に進化させた。しかし、ソニーのこれまでのリーダーたちからは、それを感じることはできなかった。だからこそもう一度この精神に立ち返って欲しい。まだその余地はある。キーワードは「デザイン力」だ。ソニーを救う道はそれしかない。
by manabinomori | 2014-02-07 21:51 | 石塚耕一研究室 | Comments(0)
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