市民のための国際芸術祭に
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札幌国際芸術祭の全貌が見えてきました。「都市と自然」をテーマに、エネルギーや雪をモチーフにしたインスタレーションが道立近代美術館や芸術の森美術館に展示されることになりそうです。国内外の著名なアーティストによるこれらの意欲的な作品は注目を集めるに違いありません。しかし、昨年の「あいちトリエンナーレ2013」を鑑賞して感じたことは、市民と作品との間にギャップを感じたことです。巨大なインスタレーションが並ぶ会場には市民の姿は乏しく、ボランティアのスタッフだけが目につきました。市民のみなさんが心からアートを楽しんでいるようには思えなかったのです。つまり、現代美術はいまなお敷居が高い存在にあるということを認識すべきなのです。限られた空間をそれだけで埋めてしまうと、市民はそこから芸術の楽しさや感動を享受することができなくなってしまう可能性があります。「それは現代美術を学ぼうとしない市民が悪い」「芸術とは崇高なものである」とかたづけてしまうのは簡単ですが、そのような視点では市民のための芸術祭にはならないのです。芸術は哲学に近いところはありますが、一方で大衆文化という側面もあるのです。社会と結びついた最先端の芸術を紹介することは大切ですが、アートは美しく心を豊かにしてくれるものであることを忘れてはなりません。子供からお年寄りまで楽しんだり、感動していただける作品を配置することも考えなければならないのです。同時に北海道には個性豊かなアーティストが沢山います。他県の国際芸術祭との差別化を図るためにも、それらのことに配慮しながら、多くの市民に参加してもらえる芸術祭であって欲しいのです。それが札幌らしい個性ともなるのです。アートは特定の人だけのものではありません。北海道の文化の発展に貢献できる札幌トリエンナーレになることを心から願っています。
by manabinomori | 2014-03-20 00:19 | 石塚耕一研究室 | Comments(0)
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