Nのために
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湊かなえさんの小説をドラマ化したTBSの『Nのために』はおもしろい。過去と現在を行き来するストーリー展開が巧妙で、「罪の共有」を究極の愛とするテーマ設定がスリリングで魅力的だ。湊さんは淡路島で高校教師(非常勤講師)をしていただけあって、映画『告白』にはその経験が生かされている。非現実的で見た瞬間に嫌気がさしてしまうドラマが多い中で、現場を知っている者だけが描ける学校、教室、家庭の空気感が伝わる。そのリアリティが説得力を生み出す。と同時に女性ならではの心理描写の奥が深い。何より、そこに描かれた「母と子」の関係は、今日的であり、永遠のテーマとも言える。この『Nのために』も同様であり、恋人、家族、友人、同僚、そして成功と挫折、日常と非日常が時間とともに行き来する。さらに印象的なのは、瀬戸内海の朝日や夕日の美しさだ。私もそれを体験する機会があったが、いまでも忘れられない。
by manabinomori | 2014-11-23 11:04 | 石塚耕一研究室
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