東京オリンピック2020に係るデザインの混乱(新国立競技場とエンブレムの問題)には困惑するばかりでした。このブログでも新国立競技場とエンブレムのデザインが美しくないことについて触れてきましたが、最終的にはそれらのデザインは却下され、一から出直すことになりました。この英断には拍手を送りたいと思います。新たな新国立競技場の二つのデザインは、原案よりもはるかに美しく、低コストで、しかも日本らしさに満ちています。日本最大の施設の一つとして、コンサートやイベントなどの開催を考えると、ドーム(屋根の開閉が可能)であることが望まれましたが、ここまでくると涙を飲むしかありません。日本人のデザイナーだってやればできることを教えられます。あえて言うなら、審査会がいかに国民からかけ離れた存在であったかということです。日本のデザインの課題はここに集約されているように思えてなりません。エンブレムについても、日本を代表するデザイナーで、しかも大学教授のデザインであったことを恥ずかしく思います。高等教育機関の指導者が無断で写真やデザインを流用していたという事実は由々しき問題です。日本のデザインや大学教育の本質が問われる問題でもありました。この機会に、企業や事業所のデザインの在り方、さらには大学でのデザイン教育について見直しても良いのではないかと思いました。