ソニーが首位から転落
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それまで常にアメリカの企業ブランド調査(Harris Interactive)で首位を続けてきた日本の象徴「ソニー」が、今年の調査で2位に転落しました。1位は「コカコーラ」です。1999年に一度だけ「フォード」に抜かれ2位になったことはあったものの、ソニーはアメリカにおいて常に最高のブランド力を持ってきたメーカーです。それだけに残念です。順位は以下のとおりです。

1位(3位) コカコーラ(アメリカ)
2位(1位) ソニー(日本)
3位(4位) トヨタ(日本)
4位(2位) デル(アメリカ)
5位(5位) フォード(アメリカ)
6位(9位) クラフトフーズ(アメリカ)
7位(ー)  ペプシコーラ(アメリカ)
8位(ー)  マイクロソフト(アメリカ)
9位(10位) アップル(アメリカ)
10位(6位) ホンダ(日本)

ソニーにかわってブランド力を上げた日本企業がトヨタです。ホンダが順位を下げる中で、ついに3位になりました。これはトヨタのハイブリッド車「プリウス」の成功が企業イメージを高めたこと、クールジャパンブームの象徴として「レクサス」が人気を集めたことが要因です。最近ではソニーのロボットAIBOの技術までトヨタは買い取ってしまいました。ソニーの後退は、日本にとって大変残念なことです。アメリカでは、売上高世界1位の韓国サムスン(2位は松下)が、そのブランド力を求めてソニーを買収するという噂まで流れました。私の大好きな音響メーカーのデノン(DENON)もいまやアメリカ企業になってしまいました。日本の優れた技術やブランドが次々に買収されることになれば、日本は大変なことになります。この10年間で、ものづくりの拠点が中国に移り、さらに本社までもが買収されることになれば、日本の未来は暗いといわざるをえません。日本が現在進めている経済の自由化にも疑問を感じます。

さて、ソニーが後退した理由は明確です。アメリカ人が大好きだった「ソニースピリット」を感じさせる製品が消えてしまったことにあります。世界に先駆けて開発したウォークマン、トリニトロンテレビ、ビデオ、CD、デジカメ、プレイステーション、AIBOなど夢のある製品をつくる創造力がなくなってしまったからです。「ウォークマン」を負かした「iPod」がアメリカ人の手によってつくられたのとは対照的です。この10年間において、日本企業の創造力やデザイン力は衰退し続けています。その一因は教育にもあります。日本は、教育をグローバルな視点から考えることが苦手です。いま進めている教育改革にしても、OECDの学力調査でトップクラスから後退したことが引き金になっています。つまり、もう一度学力で世界のトップになろうということが基本になっているように思います。だとしたら、それはあまりにも安易です。確かにそれは大切なことかもしれません。しかしいまの日本が本当に必要としているのは、オリジナリティや創造力を生み出す人材の育成なのです。これからの日本は、近隣諸国の追い上げもありますます厳しい状況になるでしょう。そこに必要とされるのは他国に負けない日本らしいオリジナリティや創造力なのです。そのことを真剣に考える時期にきていると思います。

(写真は、久しぶりに技術・デザインともにソニースピリットを感じさせる有機ELテレビ)
by manabinomori | 2007-11-26 21:35 | おと高&音威子府村
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