夢をあきらめない~教育大に合格した高井諭志君
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 たくさんの人に助けてもらいましたので、 
 合格を知ったときはホッとしました。
 それから嬉しさがこみ上げてきました。

 高井君が自分の夢を実現させた瞬間、職員室は歓声と喜びにつつまれました。難しいとは分かっていながらも、その夢に向かって必死にチャレンジする高井君、そしてそれをサポートする先生方、そのチームワークの良さは見事でした。それが北海道教育大学岩見沢校の合格(AO入試)につながったのです。
 それだけに、高井君にかかるプレッシャーはとても大きなものだったと思います。嬉しさより先にホッとしましたという感想にそのことがあらわれています。まさに、「努力すれば夢は実現する」という見本を示してくれたのです。

 学校祭の演劇では脚本もつくりました。
 札幌では路上ライブもしました。

 このように、高井君の才能は絵を描くことだけではありません。オリジナル曲で路上ライブをしたり、学校祭の演劇で脚本や演出を担当するなど、まさにマルチアーティストそのものです。自分の才能を信じ、どんなことにでもチャレンジするところが魅力です。
 一方では、生徒会長や寮生会長などを歴任し、リーダーとして、あるいはムードメーカーとしても活躍しました。お笑い芸人になりたかったというだけあって、周りにはいつもたくさんの笑顔がありました。

 おといねっぷ美術工芸高校のよさは、
 創造することの楽しさが学べ、
 お互いを尊重でき、
 制作に集中できることです。

 この学校では、たくさんのいい先生と仲間に出会えました。普通の高校に行くよりはるかに意味があります。そうも力説してくれました。
 そんな高井君の幼少時代は、外に出るのを嫌がり、一人部屋の中で絵を描いたり、虫を集めるのが好きだったそうです。まるで手塚治虫のようです。その興味・関心が、今の制作にもつながっています。

 表現することは自分と対話することです。
 人とのコミュニケーションも生まれます。

 本校で制作する中からそのことを学んだようです。大学(芸術文化コース)では、それをさらに研究し、創造することの楽しさや素晴らしさを多くの人に伝えたいと考えています。
 高井君の良さは、「夢をあきらめない」「人と違うことをする」という姿勢を一貫して持ち続けていることです。それが今回の結果にもつながっています。夢の続きである「美術の先生」をめざし、大学でのさらなる活躍を期待します。本当におめでとう。
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写真は幼児センターで木の玩具の説明をする高井諭志君。AO入試に向けて、園児の皆さんに玩具で遊んでもらいました。ご協力いただいた幼児センターの笹木敏勝園長先生はじめ皆様方に、心より感謝申し上げます。

<「学びの森」第13号平成18年11月14日 写真Sony DSC-R1>
# by manabinomori | 2006-11-14 10:18 | おと高&音威子府村
ジョン・レノンの『イマジン』を聴こう
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2000年に発表された『イマジン~ミレニアム・エディション』は、ジョンのボーカルがよりクリアになった高音質CDです。

 高校生にぜひ聴いてもらいたいアルバムとして、ジョン・レノンの『イマジン』があります。
 このアルバムのトップを飾る曲『イマジン』は、ジョンが死去してからイギリスで1位になり再評価されました。今では英語の教科書にも採用され、20世紀を代表する名曲として、アテネオリンピックの開会式や国連でも歌われました。
 『イマジン』が発表された1970年は、まだアナログ・レコードの時代で、高校生だった私の楽しみは、FMで放送されるビートルズの曲をラジカセに録音して聴くことでした。
 高校時代は下宿していましたので、小遣いがほとんどありません。したがって昼食代を貯めてカセット・テープを買っていました。昼休みは苦痛でしたが、ビートルズを聴けるのであれば空腹ぐらいたいしたことではないと我慢したものです。
 アルバム『イマジン』はカセット・テープがすり切れるぐらい聴きました。その中に心をひきつけてやまない曲がありました。それが『ジェラス・ガイ』です。悲しくも美しいメロディと、せつせつと歌うジョンの声を聴いていると、涙が出そうになります。バックのピアノ、ベース、ストリングス、そしてジョンの口笛も素晴らしく、ここまで心に迫ってくる曲を聴いたことがありませんでした。
 この曲は「嫉妬」をテーマにしています。人間にとって、恋愛ほど素晴らしいものはありません。しかし恋愛ほど不安定なものもありません。恋愛には人を変えてしまうほどの強さがあるのも事実です。その恋愛で必要なもの、いや人間として生きていくために必要なもの、それこそが「素直さ」であるとこの曲は歌っているように思います。
 『オー・マイ・ラヴ』『ハウ?』『オー・ヨーコ』なども名曲です。ジョンは、ビートルズの中期からヒットチャートの上位に入るための曲づくりをやめました。特に解散後は、私小説のように自分をさらけだした曲をつくり続けました。『イマジン』の前に発表した『ジョンの魂』はその極めつけです。
 楽しい曲もいいでしょう。でも高校時代には、ジョン・レノンの『ジェラス・ガイ』ように、心の奥底にまで迫ってくる曲も聴いて欲しいと思います。

<「学びの森」第13号平成18年11月14日>
# by manabinomori | 2006-11-14 10:11 | ビートルズ あれこれ
自然との共存~中川研究林公開講座に参加して
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 11月8日、北海道大学中川研究林の公開講座「知られざる音威子府村の自然」に参加しました。音威子府の自然と動植物について紹介していただけるということで、とても楽しみにしていました。研究林の池上佳志先生の講演は、数多くの写真を使った、丁寧でわかりやすいものでした。
 音威子府に住み始めてから、いつも鳥のさえずりに癒されてきました。朝に夕に聞こえてくるその鳴き声は、まるで心地よい音楽のようでもあります。しかし、村にどんな鳥が住んでいて、鳴いているのがどの鳥かなんて考えたこともありませんでした。
 講演で驚いたのが、音威子府には天然記念物や絶滅危惧種に指定されているワシやタカがいるということです。彼らは鳥の中ではもっとも大きく、肉食で、生きるためにはそれなりの自然環境とエサが必要であり、それが音威子府の森にはあるというのです。
 豊かな自然の中でしか生きられない鳥たちが、私たちの村にはいるのです。その話を聞いただけでワクワクしてしまいます。日本で一番大きなキツツキであるクマゲラも生息しています。音威子府の森は、鳥たちにとっては楽園なのかも知れません。
 鳥ばかりではありません。音威子府にはサンショウウオやモモンガなどの貴重な生物も生息していることを知りました。中川研究林では、野生動植物の生態解明までしています。赤外線センサー付き自動撮影カメラがとらえた動物たちの写真は圧巻でした。
 私たちは動植物と共存しています。私たちは地球に豊かな自然があるからこそ生きられるのです。エゾシカが車と接触したり、ヒグマがあらわれると、一方的に彼らが悪いように思われがちですが、なぜそうなるかを知ることも必要です。池上先生が言われるように、この豊かな自然の中で、お互いに不利益のない生活ができることが大切だと思いました。

<「学びの森」第13号平成18年11月14日 写真Sony DSC-R1>
# by manabinomori | 2006-11-14 10:07 | おと高&音威子府村
保護者からのメッセージ 馬場 希さん
 不安から自信へ
 後志の赤井川村出身の息子と「おと高」との出会いはクロスカントリースキーが切っ掛けのため、美術・工芸に力を入れている事は聞いていましたが、具体的にどんな学校なのか、地域的にどんなところなのかは体験入学に訪れるまではあまり知識も無く、村立高校という響きにだけは親近感を覚えていました。息子はどちらかと言うと不器用なので「寮生活等の人間関係」や「美術・工芸の授業」に不安は持っていたようですが、音威子府での生活がスタートすると、その不安が消えるまでにさほど時間は掛からなかったようです。今子供たちを取り巻く環境は、どちらかというと人間関係の構築や自分に自信を持つことが難しい場面が多くなっていますが、音威子府での田舎暮らしと寮生活、そしてものづくりの環境は、子供達に思いやりと助け合いの心を育て、自分に自信を持つチャンスを与えてくれていると思っています。息子もここで不安を自信に変えチャンスを掴み、来春道外の大学で新たな生活をスタートさせる準備を進めています。


 「一日体験入学」特別号を発行するにあたり、3学年保護者の馬場 希さんに寄稿していただきました。お忙しい中ありがとうございました。心から感謝申し上げます。

<「学びの森」第12号より>
# by manabinomori | 2006-11-08 11:22 | おと高 学校経営
全国の中学生と保護者のみなさんへ②
みなさんの疑問にお答えします。

1 先生方ってどんな人?
 若くて意欲的な教員ばかりです。補習や部活動などでは放課後も粘り強く指導します。生徒のためなら何でも相談にのってくれる誠実な先生ばかりです。工芸科の教員は村のアーティストとしても活躍しています。

2 先輩は怖くないの?
 明るく元気な先輩はいますが、威圧するような先輩はいません。面倒見がよく、素直でやさしい性格の人が多いと思います。もちろん、ものづくりや絵を描くことが好きな人がたくさんいます。

3 寮生活が不安ですが…?
 最初は不安になると思いますが、親切な人ばかりですので大丈夫です。チセネシリ寮は、寮生会による自治がしっかりしています。挨拶もできるようになりますし、自分のことは自分でできるようになります。社会人として成長していくためにはよい経験になるでしょう。
 寮では、集団生活をとおして基本的な生活習慣が身につくように指導しています。寮職員が常駐し、教員も平日は午後10時まで、金・土曜日は宿泊もしていますので安心です。

4 工芸科でも大学に進学できるの?
 心配いりません。本校は普通科中堅校並の進学実績を残しています。ほとんどは推薦によるものですが、昨年度は北海道教育大学岩見沢校にも合格しています。クロカン部の生徒は、中央大学(法学部)、同志社大学(商学部)などの難関大学へ進学しています。

5 普通教科の授業は?
 一人ひとりの能力に応じた学習指導により基礎学力の定着に努めています。普通科の高校よりも授業時数が少ないため工夫しています。英語の授業では米国人の指導助手が毎週加わります。

6 部活動は全員加入なの?
 全員加入によって生徒同士や教員との交流を深めます。豊かな心を育むための一つの柱になっています。また砂澤ビッキ美術館では、受付や作品説明などのボランティア活動をしています。希望者だけですが貴重な体験になっています。

7 木の手づくり展って?
 卒業制作の作品を中心に展示します。今年度は6月に旭川市の上川合同庁舎ホール、8月に札幌市の北海道庁道民ホールで展示しました。多くの方が鑑賞され高い評価をくださいました。

8 村に楽しみはあるの ?
 カラオケや映画館などはありません。しかし何ものにもかえがたい美しい自然があります。新鮮な空気、森と川、小鳥のさえずり、列車の音…。その素晴らしさがしだいにわかります。夏は散歩や魚釣り、冬はスキーやスノーボード、村のいたるところに感動がころがっています。

9 不登校なのですが?
 本校の良さは、中学校時代不登校であったとしても、美術工芸が好きであれば入学後いきいきと活動できることです。大切なのは、確かな目的意識を持っているかどうかです。

<「学びの森」平成18年10月28日第12号より>
# by manabinomori | 2006-10-26 10:59 | おと高 学校経営
全国の中学生と保護者のみなさんへ
おといねっぷ美術工芸高校を選ぶ理由は?

b0108779_8163357.jpg1 質の高い教育が受けられる。
 北海道唯一の工芸科として、全国でもトップレベルの作品を制作しています。それを可能にしているのが、①系統性を生かした特色ある教育課程、②意欲に満ちた指導スタッフ、③充実した施設設備、④音威子府村による支援です。
 本校の教育力は、ホールにある作品をご覧になれば一目瞭然です。すべての生徒が、入学時には想像もできなかった作品を制作しています。

2 一人ひとりの個性が生かせる。
 工芸コースと美術コースの設置により、工芸科でありながら絵画やデザインなどの授業も受けられます。工芸コースでは家具やカヌーの制作、美術コースでは油彩や日本画の制作など、多様な科目を設置し、生徒の興味・関心に応じた授業を展開しています。同時に、少人数指導と複数教員配置によるきめ細かい指導体制により、一人ひとりの個性をのばしています。
 また小さな学校の利点を生かし、学校行事や部活動などでは、それぞれの生徒が主役として、いきいきと活動しています。

3 思いやりの心が生まれる。
 本校ではものづくりをとおして粘り強さや豊かな心を育成しています。その結果として、人間としてもっとも大切な「思いやり」の心が育ちます。
 学校行事や部活動での触れ合い、村民や幼・小・中学生との触れ合い、寮生活での家族のような触れ合いなど、心を育てる教育が充実しています。

4 美しい自然に触れられる。
 音威子府の自然の美しさに触れられることは、生徒の心に大きな影響を与えます。植樹祭、森林探訪、炊事遠足などの行事も含めて、生涯忘れることができない貴重な体験ができます。自然は心を育てる大切な教材なのです。

5 大学で学べる。
 4月から北海道東海大学旭川校舎との高大連携がスタートします。大学での講義受講やデザインスクール(2泊3日)への参加、さらには本校での特設授業などを予定しています。高校にいながらにして大学を体験することができます。

6 クロカン部、美術部、工芸部がある。
 クロスカントリースキー部は2年連続日本一になり、NHKで特集番組が組まれ全国的にも注目されています。本校のすぐ隣にスキー場があり、専用バスまで所有しています。恵まれた環境の中で活動できます。
 また、美術部、工芸部も全国大会の常連です。授業とはひと味違う作品を制作し、高文連美術展研究大会、学生美術全道展などで活躍しています。

<「学びの森」平成18年10月28日第12号より>
# by manabinomori | 2006-10-25 07:47 | おと高 学校経営
いじめはどこにでも存在する
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 福岡県の中学校2年生の男子生徒が、いじめられたと遺書を残して自殺をし、こともあろうか担任までもがいじめをしていたことが発覚しました。これは教育現場では絶対あってはならないことです。
 「からかいやすかった」と担任は述べていますが、教師の仕事は、からかわれやすい生徒の立場を理解し、そうならないように指導することのはずです。ところが教師自らやったというのであれば、それはいじめをなくすどころか、助長したことになります。これはある意味で犯罪に近い行為です。このような人間が教師をしていること自体間違っています。
 今回の事件は、教師としての本質的な部分、つまり人間性そのものが問われるケースです。いくら教科指導力や部活動指導力があったとしても、いじめを発見し指導できない教師は不適格ということが証明されたわけです。子どもたちに心豊かな教育をするためには、私たち自身が心豊かな人間でなければならないということです。

 私はこれまで様々ないじめを見てきました。その経験から、大小の差はあるにしても、いじめはどこの学校にも存在すると思っています。それは世界中から戦争がなくならないのと同じです。大人の世界でもいじめは存在します。もしかすると子どもたち以上に悪質かも知れません。極論を言わせていただけば、人間がいる限りいじめはなくならないのです。
 だからこそ、私たちは子どもたちを注意深く見守って行く必要があるのです。ある研修会で「うちの学校にはいじめが全くありません」と豪語した教師がいましたが、それは本当でしょうか。もしかすると気がついていないだけかも知れません。なぜならいじめは、教師からもっとも遠いところで起きているからです。どこの学校にもいじめの要因は存在し、それが何らかのきっかけで発展したり、しなかったりするだけのことです。それを自覚できない教師もまた危険といわざるを得ません。
 いじめは心に傷をつくります。その傷は表面からは見えません。そこがいじめをわかりづらくしているところです。しかもいじめほど一方的な行為はありません。そこには思いやりの心など全くなく、ゲーム感覚で執拗に傷つけ、それを見て楽しむのです。そしてその行き着く先が今回のようなケースです。そうなってしまったら、その子が生きてきた意味も、その子を育ててきた意味も、全て失われます。このように、いじめほど残酷なものはないのです。人としてもっとも許せない行為、それがいじめなのです。

 では、いじめをなくすためにはどうすればいいのでしょうか。それは難しいことではありません。常に子どもたちと接し、その様子をこと細かく観察していればいいのです。必ずその兆候を発見することができます。そして、例え小さなことであったとしても、重大なこととして受け止め、すぐにケアすることです。これで大事には至らずに終わります。ただしここでは、弱者の視点でものを見られることが前提になります。いじめの加害者は「一緒に遊んでいただけです」「ふざけていただけです」と必ずいいます。それに惑わされてはなりません。真っ先に考えなければならないのが被害者の気持ちです。もし被害者が苦痛を感じていたのであれば、それは間違いなくいじめなのです。そのことがわからないと、今回のようなことに発展してしまいます。
 特に気をつけたいのは、教師という仕事は忙しいため、いじめを発見しても後で対応しようとすることです。ところが、いじめは常に動いています。翌日になれば、予期せぬ事態に発展していることだってあるのです。いじめを発見したらすぐに対応する、これがいじめ解決の基本です。
 最後に忘れてはならないのが、保護者との信頼関係を強化することです。子どもたちの情報を保護者から収集していれば、未然に防止できるケースがあります。日頃から家庭とのコミュニケーションを図ることは、学校や担任の教育方針を理解し協力してもらえることにもつながります。仮にいじめが発覚したとしても、協力してスムーズに解決できます。しかし信頼関係がなければ、学校と家庭の関係は泥沼の状態に陥ります。加害者と被害者の関係も同様です。
 
 こうしてみるといじめの問題は、教師の意識の問題であるということがわかります。いじめはどこにでも存在します。そのことをいつも忘れず、一人ひとりの子どもたちに愛情と情熱を持って教育をすることが大切なのです。

<「学びの森」平成18年10月18日第11号より>
# by manabinomori | 2006-10-18 16:04 | おと高&音威子府村
高校で工芸をやりたかった~ 戸間替 信
高文連で「全国推薦作品賞」を受賞した 戸間替 信 君
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 ものをつくることが好きです。
 小さなときから紙とかハサミを使って、
 いろいろなものをつくっていました。

 これは、今年度の北海道高等学校美術展・研究大会において、『全国推薦作品賞』を受賞した戸間替君のことばです。
 戸間替君は、小樽市立北山中学校の出身です。趣味はものをつくることで、小さな頃からペーパー・クラフトなどをつくっていたそうです。今回の受賞は、そういう昔からの興味・関心が、本校に入学して開花した結果ともいえるでしょう。
 高文連で全国に推薦されることは、誰にでもできることではありません。そのためには、アイディア、技術、完成度などが、北海道のトップクラスでなければならないのです。 戸間替君は、一年生でありながらそれを成し遂げました。大変素晴らしいことです。本校にとっても名誉なことです。
 しかし、そのための苦労はありました。夏休み中には50枚のデッサンを描き、顧問の河野先生のアドバイスを受けながら、個性的で、魅力的なテーブルを考え出したのです。テーブルとしては斬新なブロックの配置と、赤と青による色彩のコントラストが、高い評価を受ける要因となりました。これこそが 戸間替君がこだわって取り組んだことです。
 本校に入学するにあたっては、保護者の方の心配もあったようです。本人も寮生活をおくれるかどうか心配だったといいます。しかし、本校の楽しそうな授業を見て、ここならやっていけると確信したそうです。
 校長室で「この高校は、先生と生徒の距離が近くてとてもいい学校です。全国に行けるのは、仲間や先生方のおかげです」と話してくれました。こういうことをいえる生徒だから、このような作品をつくることができたのでしょう。
 
 全国大会の作品を参考にしながら、
 もっと特色のある作品をつくってみたい。
 将来は工芸家としてやってみたい。

 このように、しっかりした考えを持っている戸間替君には、次の目標が見えています。将来、ぜひ音威子府から世界に羽ばたいて欲しい生徒です。

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戸間替君の『Red or Blue』という作品は、工芸作品でありながら、彫刻的な要素も併せ持ち、シンプルで合理的にしがちな「テーブル」というものの概念を、良い意味で裏切った作品です。(顧問 河野 昌一)

<「学びの森」平成18年10月18日第11号より 撮影Sony DSC R1、作品は顧問撮影>
# by manabinomori | 2006-10-18 16:01 | おと高&音威子府村
高文連で戸間替君が全国へ! 学美展で友重君が優秀賞!
 高文連美術展全道大会受賞者
<全国推薦作品賞>
 1年 戸間替 信「Red or Blue」(立体)
<全道優秀作品賞>
 3年 友重 圭司「未完成の思想」(立体)
 2年 田坂  葵「清涼」(平面)
    佐藤  量 「CUBE」(立体)

 学生美術全道展入賞・入選者
<優秀賞>
 3年 友重 圭司(工芸)
(入 選)
 3年 佐々木 睦・本田 昌也(絵画)
    伊藤雄太郎(工芸)
 2年 清武  昌・酒井由葵絵・佐々木茉那・
    杉本 大幸・田坂  葵・西高 詩乃・
    増田  琴・箭原  萌(絵画)
    大崎 育成・佐藤  量(工芸)
 1年 飯村 大吾・竹田けいこ・洞口 友香・
    向平  藍・吉成  岳(絵画)
    佐藤 将仁・森  勇気(工芸)

 小樽市で開催された高文連美術展全道大会において、戸間替 信 君の立体作品「Red or Blue」が<全国推薦作品賞>を受賞しました。1年生の作品が全国に推薦されるというのは快挙です。また<全道優秀作品賞>に3名の作品が選出されました。本校は全国大会の常連校であり、その期待とプレッシャーもあります。その中でこれだけの作品が入賞したということは素晴らしいことです。
 札幌市民ギャラリーで開催された学生美術全道展においては、友重 圭司 君の工芸作品が<優秀賞>を受賞しました。友重君は、2年生で高文連の全国推薦作品賞、3年生で高文連の全道優秀作品賞、学美展で優秀賞と、まさに北海道の高校生としてトップクラスの活躍を続けています。これがスポーツの大会ならスターになってもおかしくないぐらいです。また、絵画部門で15名、工芸部門で5名が入選を果たしています。こちらも大活躍でした。
 みなさんの努力に拍手を贈りたいと思います。

<「学びの森」平成18年10月17日第10号より>
# by manabinomori | 2006-10-16 15:01 | おと高&音威子府村
全員が主人公~音威子府小学校の学芸会
 先日、音威子府小学校の学芸会を見させていただき、今まで経験したことのないような新鮮な感動を覚えました。札幌の小学校の学習発表会は、仕掛けが大がかりで、合唱・器楽・劇などのレベルも高く、ちょっとしたコンサートのような様相です。しかし、いつも何かが欠けていると思っていました。それは、学年としてのまとまりは見えても、子どもの個性が見えないということです。
 音小の学芸会では、一人ひとりの子どもの声や表情をしっかり感じとることができます。主役であろうが、脇役であろうが、子どもたちはそれぞれの場面で、きらきらと輝いています。まさに全員が主人公で、お互いに協力し合っているのです。これはとても大切なことです。そして、保護者のみなさんが、温かく子どもたちを応援しています。この連帯感が音小の学芸会の素晴らしさです。
 高学年の器楽は、選曲も素敵で、人数の少なさを感じさせない力強い演奏でした。劇「オールウェイズ~4丁目の朝日~」は、子どもたちのオリジナル作品ですが、とても感動的な構成です。演技はもちろんのこと、バックに描かれた絵も印象に残りました。PTAによる合唱も良い企画です。ギター演奏に合わせた「大きな古時計」は、間違いなく子どもたちに感動が伝わったと思います。ありがとうございました。
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<「学びの森」平成18年10月17日第10号より 撮影Snoy DSC-R1 >
# by manabinomori | 2006-10-16 14:52 | おと高&音威子府村
見えないものを見えるようにする~パウル・クレー
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 道立近代美術館で開催された「パウル・クレー 創造の物語」展を鑑賞しました。本展は、クレーの所蔵で有名なドイツの三つの美術館の所蔵作品を中心に160点もの作品で構成されています。
 パウル・クレーは、1879年スイスに生まれました。父はドイツ人音楽教師、母はスイス人オペラ歌手で、小さな頃から音楽に親しみ、14才でベルン・オーケストラのヴァイオリン奏者を務めます。音楽の道に進むか、絵画の道に進むかで迷いますが、21歳でミュンヘン美術アカデミーに入学します。ところが、アカデミックな美術教育に納得できずイタリアに遊学し、結婚したリリーの収入に支えられながら過ごします。1920年に芸術学校「バウハウス」の教師として迎えられます。1933年ヒットラー政権誕生とともに弾圧を受け、故郷のスイスへ亡命します。まもなく難病で制作を断念しますが、最期の2年間は精力的に制作し、1940年心臓麻痺で死去するまで、9,600点もの作品を残しました。享年60才。

 芸術とは自己の内面を表現する行為です。クレーは、その可能性を線と色彩によって追い求めた画家でした。一見すると自由奔放で無邪気な作品のようにも見えますが、実はその線と色彩はとても計算されています。絵画の哲学らしきものさえ感じます。作品にはユーモアもあり、それが魅力の一つにもなっています。
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 『イルマ・ロッサ 女調教師』(1918)は、紙に水彩とペンで描かれています。カリカチュアのような人物や動物は無表情ですが、色彩は豊かで、美しいマチエールとともに思わぬ感情移入を要求されます。画面構成が複雑で、様々な要素を持つこの作品は、まるでクレーによって仕掛けられたからくり人形を見せられているかのようです。
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 『黒い殿様』(1927)は、麻布に油彩とテンペラで描かれています。シンプルな形と色で構成されたユーモラスな人物が、絶妙な色彩によって脳裏に刻まれます。画面構成の美しさにとどまらず、そこから物語を連想させるのがクレーの特徴です。確かな造形理論と技術を生かしながら、物語の創造を図るというこだわりが感じられます。
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 『赤いチョッキ』(1938)は晩年の作品です。大きな冒険はありませんが、それまで習得した技術が随所に発揮されています。下地である麻の表面を生かしながら、自由に描かれた線と色彩は、まるで音楽のリズムのように心地よく伝わってきます。象形文字のように抽象化された線が効果的で、生きていることの喜びさえ感じさせてくれます。

 「芸術とは見たものを表現するのではなく、見えないものを見えるようにすることである」というクレーの言葉があります。まさにパウル・クレーは、線と色彩によって、心にある物語を描き出すことに挑戦し続けた画家だったように思います。

 参考文献 図録「パウル・クレー 創造の物語」

<「学びの森」平成18年10月17日第10号より>

※日本では、著作権の保護期間は著作物の創作時から始まって著作者の死後50年が経過するまでと定められています(著作権法第51条)。したがいまして、このページに掲載しているクレーの画像は、既にパブリックドメインになっております。また、このブログは営利目的には利用しておりません。しかし、念のため出典を記載し、画質も落として使用しています。もし関係者の方が問題があると判断された場合には、申し出と同時に適切な処置を行います。ご理解のほどよろしくお願いいたします。
# by manabinomori | 2006-10-16 14:46 | 展覧会レポート 札幌 | Comments(0)
後期の学校経営に向けて
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 平成18年度の前期が終了しました。この半年間で感じたことは、本校の教育活動が全国的にも貴重なものであるということです。少子化による高校再編の流れの中で、地方の高等学校は生き残りをかけて四苦八苦しています。しかし、本校は全道唯一の工芸科として、特色ある教育活動を展開しているため、その波に飲み込まれることなく、むしろその存在価値が高まりつつあるようにさえ感じます。マスコミの取材がひっきりなしにあるのは、村立であることはもちろんですが、本校の教育活動が注目されているからに違いありません。
 さて、学校経営は消極的であってはなりません。現状を適切に分析し、時代の風を感じ取りながら、学校の発展のために何が必要であるかを考え、果敢にチャレンジしていくことが求められます。それが校長の仕事であり、その結果が学校評価を高めることにつながり、生徒に還元されるのです。
 後期は、次の3つのプロジェクトが始動します。これらをバネに本校のさらなる発展をねらいます。

1 学校評議員制度の導入
 道立学校ではすでに導入されています。本校は村立ということもあり見送られてきましたが、これからの教育活動をより魅力的なものにするためには不可欠なものと考えます。年度途中ではありますが、後期から導入します。学校評議員は、地域住民、学識経験者、美術工芸関係者等で組織し、様々なご意見を伺いながら学校経営に生かしたいと考えています。そのことによって、私たちの意識改革が進み、教育活動の新たな展開も可能になります。

2 高大連携の推進
 上川支庁の中心である旭川市は、家具のまちとして全国的に有名です。その上川支庁で、家具づくりに関係している教育機関は、大学では北海道東海大学旭川校舎くらしデザイン学科、高校では本校になります。場所は離れていますが、この2校が連携しない手はありません。この連携によってお互いの存在感が高まり、将来的には旭川市や上川支庁に貢献することも可能になります。何より大学での講義受講や出前授業は、生徒の学習意欲や進路意識の向上をもたらします。現在、大学と連携の在り方などについて協議中です。後期は実施可能なものを取り入れ、次年度には、高大連携調印式を実施し、本格的にスタートさせたいと考えています。
 もう一つ取り組んでいるものがあります。本校は昨年度、北海道教育大学岩見沢校芸術文化コースに合格者を出しました。国立大学に合格させるというのは大きな成果です。美術工芸教育の特色を生かし、AO入試や推薦で、これから毎年合格者を出せれば、生徒や保護者にとって大きな喜びとなります。もちろん生徒募集の強い力にもなります。そのためには、進路指導をさらに充実させるとともに、岩見沢校などとの連携を深め、本校の教育内容と教育成果を十分知ってもらう必要があります。教育大学の改革が進展している今こそがチャンスと考え、動き始めています。

3 美術工芸教育研究発表会の実施
 手前味噌になりますが、もしかすると本校は、美術工芸系の高校では、日本一の成果を上げているかもしれません。これだけ多様な生徒が入学してくる中で、ものづくりをとおして、生徒に、着実に「生きる力」を身につけさせています。ホールにある作品一つとってみても、それは自信を持って全国に誇れるものです。
 新学習指導要領の実施で、芸術(音楽・美術・工芸・書道)の必履修時間が削られ、芸術教科は2単位だけで終了する高校が増えました。それに伴い芸術科の教員も減少し、今や芸術教育そのものの存在が問われる時代になりました。あまり知られていませんが、学力到達度世界一のフィンランドでは、美術教育と自然教育に力を入れています。描くことや鑑賞することを教育に取り入れ成果を上げています。子どもたちは、描くこと、つくること、歌うこと、演奏することなどの芸術活動を通して、心豊かでバランスのとれた人間に成長します。私たちにしても身のまわりに芸術(音楽・映画・写真・服装や商品のデザインなど)があるからこそ心豊かな生活を送ることができるのです。
 そのことを踏まえながら、次年度、本校の教育活動の成果を全国に発信したいと考えています。具体的には、公開授業を含む研究発表会を実施し、美術工芸教育の素晴らしさと大切さを訴えます。

 <「学びの森」平成18年10月6日第9号より 撮影Sony DSC-R1>
# by manabinomori | 2006-10-04 12:13 | おと高 学校経営
写真で見る『咲来小学校児童への木工体験学習』
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<「学びの森」平成18年10月6日第9号より 撮影Sony DSC-R1>
# by manabinomori | 2006-10-04 12:02 | おと高 美術工芸教育
開かれた学校として
 村の美術館でもある本校には、4月から様々な方が来校されました。お礼の手紙もいただいていますので、その一部をここに紹介します。

 「全校生徒90名の村立の高校、何か奇蹟のような感じを受けます。デッサンや模写に力を入れられておられることに、美術の基本を大切にしようという先生方のご配慮が感じられ敬服いたしました。こういうよい環境のもとで生徒さんたちがみずからの可能性を見いだし、高めてゆくことの幸せが思われます」

 「生徒さんの個性豊かな、それでいてあたたかみのある作品を拝見していると『学校』というよりも『美術館』に足を踏み入れたかのような感じがしました。また『学びの森』を読ませて頂き、校長先生をはじめとする先生方が、生徒さんや学校、そして地域をよく見ていることに感激しました。」

 「生徒の美術工芸制作風景、エコミュージアムおさしまセンターとビッキ、BGMが流れ『学びの森』が発刊される校長室、黒いそば、どこを見回しても鬱蒼と生い茂る緑の樹林、道しかない風景、どれも新鮮な衝撃でした。まさか、音威子府にビッキが存在しナッシュが指導した生徒たちがいたこと、彼らの作品が数多く残されていたということなどにカルチャーショックを受けました」

 この前期だけで、観光客から東京のカメラマン、さらには他県の教員までもが来校しました。もちろん入学を希望する生徒や保護者の方も来校しています。その訪問者といかに接するか、これが本校の重要な課題です。基本的には、校長室に案内し、ホールの作品を見ていただき、時には授業も見ていただくようにしています。『開かれた学校』の入り口とは、実はこのようなところにあるのかもしれません。
 一方で『開かれた学校』として、今年度積極的に取り組んでいるのが教育資産の提供です。特に幼・小・中との学校間連携ではその本領が発揮できます。第一弾として、10月2日に咲来小学校の児童への木工体験学習を行いました。かわいい小学生を相手に、2年生が一生懸命オモチャづくりの指導にあたりました。小学生の中には、糸ノコの使い方を熟知している子もいて、意欲的に活動していました。うれしかったのは、担当した2年生が上手に指導し、みんないきいきとした表情をしていたことです。咲来小学校の皆さんありがとうございました。
 9月5日には、江別市で活躍している『明日への具象画展』の会員の皆さんが来校しました。本校ではホールの作品、油彩の授業、高橋昭五郎さんの特設授業などを見学し、『エコミュージアムおさしまセンター』ではビッキの作品を鑑賞しました。大変感激して帰られました。
 高橋昭五郎さんの特設授業は2年目になります。本村に本人の美術館がある彫刻家からの指導です。本校生にとってこんなにありがたいことはありません。9月4日から5日間にも及ぶ特設授業でしたが、2年生は熱心に授業を受けていました。木彫について、多くのことを学ぶことができたのではないかと思います。
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高橋昭五郎さんの特設授業
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ビッキの作品を鑑賞する「明日への具象画展」会員の皆さん

 <「学びの森」平成18年10月6日号第9号より 撮影Sony DSC-R1>
# by manabinomori | 2006-10-04 11:46 | おと高 学校経営
学校間連携~クリーンおといねっぷ~
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 本村にある学校は、咲来小学校を除き、比較的近くに設置されており、連携しやすい環境にあります。これまでも様々な取り組みがなされてきましたが、今回は幼・小・中・高の全ての学校が一緒に取り組む事業として『クリーンおといねっぷ』が企画されました。
 とはいうものの、村内の全ての児童生徒が一堂に会する行事というのは初めてのことであり、各校の代表者会議により慎重に準備が進められてきました。当日は好天にも恵まれ、なんとか所期の目的を達成することができたのではないかと思います。
 本校生は、最上級生として、清掃活動をリードすることはもちろんのことですが、小さな子どもたちの面倒も見なければなりません。しっかりできるのだろうかという不安もありましたが、それは無用でした。班ごとの自己紹介では、ユーモアたっぷりに進行したり、リーダーとしての自覚を持って行動してくれました。
 教師がリードするのではなく、高校生がリーダーとして活躍できる機会を与えていただけたことは大変ありがたいことです。生徒には貴重な体験になったと思います。
 地域によっては、あまりゴミがないところもありましたが、それでも子どもたちは熱心に活動していました。最初はぎこちなかったものの、しだいにうちとけて楽しく交流できたようです。最後には兄弟のように仲良くなっている生徒もいました。
 『クリーンおといねっぷ』の実施によって、子どもたちのゴミに対する意識が変わり、村に対する愛情が深まったように思います。なにより一生懸命清掃活動する姿は、とてもすがすがしく、美しく感じられました。準備を進めてこられた各学校の先生方には心から感謝申し上げます。
 本村の学校間連携は、幼・小・中・高が一緒に行う全国でも珍しい連携です。今年度は本校工芸科による出前授業や実習等も予定されています。本校の教育資産が、幼・小・中の教育活動に生かされ、子どもたちの成長に少しでも寄与できれば幸いです。
 <「学びの森」平成18年9月27日第8号より>
# by manabinomori | 2006-09-27 13:20
写真で見る『炊事遠足』
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 <撮影 Sony DSC-R1 >
# by manabinomori | 2006-09-27 13:03