Heart and Creation(学校祭を終えて)
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 本校にとって最大の行事『音高祭』が終了しました。今年は「NEPFES2006~waraiai~」をテーマに、保護者や村民の皆さんの温かいご支援があり盛会のうちに終了することができました。この場をお借りして感謝申し上げます。
 その学校祭についてここで紹介させていただきます。
 まず、美術工芸高校らしい特色を出せたのは良かったと思います。特に工芸品販売は大好評で、アッという間に売り切れてしまいました。スツール(椅子)、おぼん、CDラック、ミニアクセサリーなど、生徒が丁寧に作った木工芸作品は素晴らしいものばかりで、大変注目されました。美術工芸作品の展示では、授業で制作したものを発表するとともに、高文連や教職員の作品も展示し、来場された皆さんに教育活動の成果を十分に見ていただけたのではないかと思います。「年々レベルが上がっていますね」という感想もいただきました。ワークショップでは、保護者のみなさんが生徒?になり、担当の生徒から指導を受け熱心に取り組んでいました。教育活動紹介コーナーでは、日頃の学校での活動内容を写真により紹介させていただきました。
 次に紹介させていただきたいのは、生徒のパワーがいかんなく発揮されたということです。音楽の授業がない学校での「合唱コンクール」でしたが、指導者がいない中で、自分たちでピアノを弾き一生懸命歌いました。その素朴で純粋な歌声はとてもさわやかでした。「クラス演劇」は、アイディアを出し合い、一人ひとりの個性を生かした楽しい内容で、小道具や衣装も凝っていました。中には素晴らしい演技もありました。全体に言えることは、3年生が最上級生としてよくリードしていたということです。閉祭式の結果発表で、2年生が優勝という場面もありましたが、3年生はそれをみんなで祝福しました。このような温かさは本校ならではのものです。これは学校生活や寮生活の中で培われた思いやりに他なりません。パフォーマンス大会でもっとも感動したのは、馬場君と高井君の弾き語りでした。保護者席からアンコールが出るほど上手な歌と演奏でしたが、そのオリジナル曲は高校生が作ったとは思えないほど質の高いものでした。創造性を大切にする本校らしさの一端とも言えるでしょう。
 さらに、保護者のパワーも本校生同様に凄いものがありました。参加者数が100名近いというのも驚きですが、舞台発表の最後の場面では、生徒が演奏しているステージに数名のお母さんが飛び入りし生徒と手を取り合って楽しんでいました。こんな光景は教師になって初めてのことです。焼き肉パーティーでは生徒・教職員と一緒に食事をし、懇談会でも教職員と楽しく交流し、露店では生徒以上に張り切って焼きそばを作り、野菜・音威子府そばなどと一緒に販売していました。まさにこの一体感が本校の素晴らしさです。それだけに山崎PTA会長さんをはじめとするPTAの皆さん方のご苦労には大変なものがあったと思います。しかしそのことは、親の子に対する愛情として、間違いなく子どもたちに伝わったはずです。
 さて、今年度の学校祭は、担当の畠山教諭を中心に企画・準備段階から生徒を支援してきました。合唱や演劇では生徒と一緒に担任が出演し、生徒に良い刺激を与えましたし、岩本・柴田・手塚教諭によるビデオ作品『IST』の上映は学校祭にアクセントをつけました。もちろん反省点はあります。例えは、パフォーマンスの時間が大幅にのび保護者の皆さんにご迷惑をかけてしまったこと、ステージ内容の精選など、次年度に向けて改善していきたいと考えています。
 最後になりますが、村長さんはじめ多くの村民の皆さんにご来場していただき、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
 (「学びの森」平成18年7月24日号/Sony DSC-R1にて撮影)
# by manabinomori | 2006-07-28 11:16
ビッキ美術館『エコミュージアムおさしまセンター』
 『エコミュージアムおさしまセンター』には砂澤ビッキの作品が100点以上展示されています。どの作品もビッキのメッセージが感じられる印象に残るものばかりです。特に好きなのは、風の回廊にある素描『動no.1』と午前3時の部屋にある『午前3時の玩具』です。前者には子どもが描いたかのような無邪気さがあり、後者には成熟したビッキの思想と技術が凝縮されています。どちらの作品からも創ることの喜びが感じられ、その喜びこそが芸術には必要なんだとビッキが語りかけているようです。
 しかし、それ以上に脳裏から離れないのが『いないいないばぁー』です。これはビッキの作品というより、ビッキがプロデュースした光と空間によるインスタレーションのようなものです。このスタンドバーでは、時として強すぎるビッキの自我が前面に出ることもなく、まるで炙り出しのように、ビッキの芸術が浮かび上がってきます。もしそこにビッキがいたら全ての視点がビッキに集中してしまいますが、ビッキがいないことによってそれがゆっくりと表出するのです。ビッキがどこまでそれを意識していたのかは不明ですが、今考えると『いないいないばぁー』という名前自体もそのことを物語っているようでおもしろい。館長の河上實さんがいわれるように、ここにはビッキの遊び心で溢れています。
 『エコミュージアムおさしまセンター』では、開館当初から本校生がボランティア活動をしています。土・日曜日に、窓口や喫茶コーナーで来館者に対応したり、作品説明をするのです。地域の美術館の運営に参加できることは、とても貴重であり、ものづくりに対する意識改革にもつながります。休日を有意義に過ごせるという点でもありがたいことです。「生徒は上手に対応していますよ」との感想もいただいてますが、見方を変えれば、ここで接客の仕方などを教えていただいているということにもなります。
 生徒と話をしながら『いないいないばぁー』のカウンターに座ってデビット・ナッシュの図録を見ていると、この上ない幸せを感じることができます。時間の流れが止まったかのような錯覚におちいり、集中力がわいてくるから不思議です。ボランティアの生徒たちも笑顔が輝き生き生きしています。筬島の雄大な自然の中でビッキの作品に囲まれ、来客と会話ができる美術館、そこで活動できる生徒は幸せです。
 ところで、河上さんの存在はとても大きなものです。ビッキをとことん知っているだけに、その説明には説得力がありますし、なによりビッキのことを話しているときは幸せそうです。ビッキはもちろんのこと、ナッシュがこの村で制作するにあたっては自宅を提供するなどの支援までされていました。彼らが素晴らしい作品を残せたのは、河上さんがいたからに違いありません。
 小さな美術館ですが、その存在によって音威子府が芸術の村であることを知ることができます。私は今、『いないいないばぁー』をテーマにした作品づくりに取り組んでいます。単純なコンピュータグラフィックですが、制作するのがとても楽しい。その意欲を与えてくれたのもまたこの美術館です。
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写真は上から河上館長さん、生徒に説明する宗原さん、私の作品『いないいないばぁー』シリーズの1点(モデルは宗原さん) 「学びの森7月24日号/Sony DSC-R1にて撮影」
# by manabinomori | 2006-07-28 10:40 | おと高&音威子府村
村民運動会
 7月9日に村民運動会が実施されました。生徒は村のおじいさんやおばあさん方と一緒になって競技に参加し、交流を深めました。村民と高校生が一体となった楽しいひとときでした。
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 職場対抗では本校職員チームが優勝しました(上の写真)
         (「学びの森」7月24日号より/Sony DSC-R1にて撮影)
# by manabinomori | 2006-07-28 10:32
宿泊研修の写真から
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           (平成18年6月21日号より  SONY DSC-T9にて撮影)
# by manabinomori | 2006-06-24 05:50
大切なのは自分を知ること(宿泊研修を終えて)
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 今年度の宿泊研修は天候にも恵まれ、6月14日から3日間予定通り実施することができました。1年生にとって宿泊研修は、大きな意味を持つ行事です。なぜならこの研修によって、集団としての意識が高まるとともに、高校生としての自覚が生まれるからです。
 1日目は、紋別市の『オホーツク流氷科学センター』を見学し、北見市常呂の『少年自然の家』でカヌー・イカダ体験をしました。『少年自然の家』では、いつも元気に挨拶し、一緒になった他校の生徒も驚いていたぐらいです。どこでもしっかり挨拶できることはとても良いことです。少し残念だったのは、サロマ湖が引き潮で思う存分カヌーに乗れなかったことです。しかしそこは工芸科の生徒、あっという間に砂で便器!をつくったり、魚を器用に捕まえたり…と、それぞれがサロマ湖の大自然にしっかり触れていました。美しい夕日とともに、音威子府とはひと味違う自然の素晴らしさを堪能できたと思います。
 2日目は、最初に網走市の『監獄博物館』を見学しました。明治時代の監獄をそのまま再現したこの施設は、女子生徒にとっては怖いイメージもあるようで、休泊所の人形を見て悲鳴を上げる子もいました。囚人たちの生活をリアルに体験できることは、北海道の歴史を知る上でも大切なことです。その後、北見市の『オホーツク木のプラザ』で木製遊具などを鑑賞し、置戸町に入りました。ここでは森林工芸館員による竹とんぼ製作の実習がありました。長旅のせいか少しダレ気味だった生徒も、竹とんぼづくりが始まると一転して目が輝き、粉まみれになりながら必死につくっていました。その彼らの真剣な姿を見ていると、この子たちは本当にものづくりが好きなんだなと思い知らされます。今後につながる貴重な体験になったと思います。
 夜には校歌練習がありました。担任の河野昌一教諭の指導で練習したのですが、担任が「歌いなさい」と強く指導しなくても、自然にみんなが声を出していたのは立派です。あまり見られない光景だと思います。それは、学年が少人数であることや生徒が少し無邪気であることも関係しているかも知れませんが、むしろ担任の思いが一人ひとりの生徒の心の中に浸透している結果だと思います。まさに担任の人柄とこれまでの信頼関係から生まれたものです。校歌によって、生徒一人ひとりが自分を確認し、全体がひとつになることができるなんて、なんて素晴らしいことなんだろう。そんなことを感じさせてくれる場面でした。
 最終日は遠軽町生田原の『ちゃちゃワールド』と西興部村の『木夢』を見学しました。特に『ちゃちゃワールド』は、世界40カ国から集めた木のおもちゃ、藤木清治の影絵、日本伝統のからくり人形やコマなど、1年生がこれから制作する作品の参考になるものばかりで、みんな真剣に鑑賞していました。学芸員の説明も楽しく、とても印象に残るものになりました。
 この3日間の研修によって、生徒同士の連帯感が深まり、より距離が縮まったと思います。人間の成長にとってもっとも大切なことは、お互いを知ること、そして何より自分を知ることです。そのことをこの研修の中で体験できたのではないかと思います。
 (平成18年6月21日号より  SONY DSC-T9にて撮影)
# by manabinomori | 2006-06-23 06:01
北山たけしさん来校
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 6月9日にNHKの番組取材で、魂の演歌歌手と呼ばれる北山たけしさんが来校しました。目的は、天塩川をカヌーで下りながら、天塩川に関係する地域や人々を訪ねるという番組の一部として、授業でカヌーづくりをしている本校を訪れるというものです。北山さんのことは知りませんでしたが、北島三郎事務所に所属しているというだけで親近感が沸いてくるから不思議です。カメラマンや大勢のスタッフに囲まれながら、一生懸命制作する2年生がとても凛々しく感じられました。テレビで放送されるのが今から楽しみです。
(平成18年6月21日号より  SONY DSC-R1にて撮影)
# by manabinomori | 2006-06-22 11:35 | おと高 学校経営
森の案内人 鈴木憲昭さん
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 6月上旬に、生徒のために使って欲しいと、11トントラック一杯の木材を送って下さった鈴木憲昭さん宅を訪問しました。鈴木さんは、今春卒業した鈴木暢光君の父親で製材業を営んでいます。
 鈴木さんの製材所は厚沢部町にあります。音威子府からは大変な距離で、高速道路を使いながら南下し、熊石の美しい海岸線を眺めながらやっとのことで厚沢部町に入りました。町の人に事務所を尋ね行ってみると、そこはお洒落なギャラリーでした。古い木材の良さを生かしながら、それでいて現代的な雰囲気を持つギャラリーは、木を知りつくした鈴木さんらしいものになっていました。そこには、版画、書籍、工芸品、食器、衣類などが飾られていて、奥さんのセンスの良さも感じられました。
 壁面に展示してある佐藤国男さんの版画は、鈴木さんの木を使って制作したもので、木目を生かした温かみが感じられる作品でした。『続・山猫博士のひとりごと』という作品集を見せていただくと、その中に鈴木さんが描かれていました。そればかりか、オカリナ奏者として世界的に有名な宗次郎さんも友達ということで一緒に描かれていました。鈴木さんの交友関係の広さには驚くばかりです。
 鈴木さんは、森や木をとても愛しています。どんな木でも大切することはもちろん、森を守り続けるんだという強い信念を持っています。樹齢三百年を超える広葉樹林がある近くの森を国から買い取り管理したり、大学を卒業したばかりの若者2人を自宅に同居させ、森の調査研究の支援をするあたりはなかなかできることではありません。また、倉庫の一部を改造して工房をつくる計画を進めています。そのスペースも見せていただきましたが、きっと鈴木さんの情熱に誘われてたくさんの若者がこの町にやってくるんだろうなということを感じました。鈴木さんからは、私たちが最近忘れてしまっている夢やロマンといったものを教えられたような気がします。
 工場などを見学させていただき、帰ろうとすると、自宅で食事をしようと誘われました。私はとまどいながら、鈴木さんのペースにすっかり乗せられ、図々しくも自宅におじゃまさせていただきました。そこには同居している2人もいて、楽しいひとときをすごすことができました。
 鈴木さんからいただいた木材は、これから生徒の手によっていろいろなものに姿を変えていきます。きっと生徒はそこに自分の思いを託して表現してゆくことでしょう。心からお礼申し上げます。(平成18年6月21日号より)
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                   SONY DSC-T9にて撮影
# by manabinomori | 2006-06-21 11:32 | おと高 学校経営
校内の1点から 第1回 「溢れた宝物」
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 これから何回かに分けて、校内に展示されている作品を紹介していきます。
 今回とりあげたのは、今春卒業した小出静佳さんの「溢れた宝物」です。この作品は、平成17年度全国高等学校総合文化祭に北海道の代表として出品されました。私が本校に着任して真っ先に目に飛び込んできたのもこの作品です。
 ほのぼのとしたテーマでありながら、強く印象に残るのはなぜでしょう。それはこの作品の大胆な構図と微妙な色彩の美しさからくるものだと思います。
 絵にはその人らしいアイディアやセンスが必要です。高校生にそれを求めるのは難しいかもしれませんが、この作品にはそれが感じられます。大胆に見下ろした構図、少し右に配置した人物、左右の手、靴、そして木の配置が絶妙で画面に変化を与えています。この構図のおもしろさがとてもいいのです。
 また、逆光を逆手にとって、影を効果的に描いてます。そのコントラストが画面を引き締めるとともに、色彩豊かな草の描写がこの絵を美しいものにしています。いつ見てもあきない変化のある素敵な作品です。
(平成18年5月31日号より)
# by manabinomori | 2006-05-31 10:29 | おと高 美術工芸教育
バドミントン部が男子団体3位に
b0108779_10212820.jpg 本校には工芸部、美術部、クロスカントリー部という全国レベルの部活動があるため、他の部活動はどうしても目立たない存在になってしまいます。まして、全校生徒92名の小さな学校ですから、存続さえ危ぶまれる部活動もあります。
 5月26日から高体連名寄地区大会がありました。出場したのはバドミントン部と卓球部の2つの部活動です。残念なことにバスケット部は人数が足りず出場できませんでした。
 壮行会で、私は「出場するからには勝つことにこだわって欲しい」というようなことを話しました。やはり大切なことは「勝つ」ことなのです。負けてもいいという意識で出場するなら、出ない方がいいのです。「勝とう」とする思いが人間を成長させ、自分の能力以上の力を引き出すことにつながるのです。その結果として負けても、それはそれでいいのです。悔し涙は努力したことの証しであり、そこで学んだことはこれからの人生の大きな力となるのです。
 浜頓別町の多目的アリーナで行われた高体連バドミントン大会は、男子ダブルスの岡田和馬君と渡部賢児君がベスト8に入りました。そしてなんと言っても凄いのは男子団体が3位になったことです。本校のバドミントン部は昭和52年に創設され、その後一時休部し、昭和61年から現在まで活動しています。きっと3位というのはこれまでにない快挙だと思います。
 大会前に各部の練習を見に行きましたが、バドミントン部からは気迫らしきものが感じられました。壮行会でも、私のつたない話を真剣に聞いてうなずいていました。こういう真摯な姿勢や日頃の努力が今回の結果に結びついたのではないかと思います。
 職員打ち合わせで、顧問の畠山康彦先生より大会報告があったとき、教職員から温かい祝福の拍手がありました。私はうれしくて、放課後にバドミントン部を校長室に呼んで話をしました。話すというより、喜びを伝えたいという感じです。そこでも一人ひとりがとてもよい表情をしていました。同じようにすべての生徒が自分の持っている力をどんどん引き出してくれるとうれしく思います。おめでとう、そしてありがとうバドミントン部!
(平成18年5月31日号)
# by manabinomori | 2006-05-31 10:21
音威子府村植樹祭
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# by manabinomori | 2006-05-31 10:16
森とともに生きる
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 郷土の森づくりと緑化思想の普及を図ることを目的に「音威子府村植樹祭」が5月25日に実施されました。参加者は音威子府小学校、咲来小学校、音威子府中学校の児童生徒と教職員、本校2年生と教職員、そして一般参加者の約130名です。
 村の総面積の86%を占める森林に囲まれて生活している私たちにとって、森はもっとも身近な存在であり大切なものです。四季の彩りはもちろんですが、そこに住む動植物を含め、森が与えてくれるものはかけがえのないものばかりです。
 私たちは、2年生24名と高校のバスに乗り込み、上音威子府の北海道大学演習林内にある現場に向かいました。天候も良く、2年生は楽しそうにバスの中ですごしていました。現地に着くと、村長さんをはじめとして、北海道大学中川研究所、上川北部森づくりセンターのみなさんからお話をいただき、さっそく植樹にチャレンジです。植えるのは赤エゾマツで、強風で倒木した所に新たな命を注ぎ込もうというわけです。3人1組となり、鍬で穴を掘り植えていきます。都会から来ている生徒はうまくできるのだろうかという不安もありましたが、それは無用でした。それぞれがしっかり植えていました。
 「20年後にみんなで見に来れるといいね」と生徒に話しかけると「もう結婚して子どもがいるかも」などとおどけていました。自分たちが植えた木の生長した姿を見たいという気持ちはみな一緒だと思います。
 植樹が終わると、笹の子を一生懸命取っている生徒がいました。その中の一人が「ずっとみんなでこの高校にいたい」と言っていたので、「なぜ?」と聞いてみました。すると「自分のことを分かってくれる友達がいるから」と照れながらこたえました。まわりから冷やかされてはいましたが、もしも今までがそうでなかったとしたら、本校に入学してとても良かったと思います。ここには、村も含め家族のような温かさがあります。この高校で自分の存在意義を発見することができたとしたら、それは人生の中でも大きな意味を持つことになるでしよう。
 その後、私たちは何人かの生徒がボランティアをしている「エコミュージアムおさしま」に寄ってビッキの作品を鑑賞しました。さらにその周りを散策して高校にもどりました。まさにおといねっぷ美術工芸高校ならではの特色ある一日です。

 札幌から音威子府に移り住んで感じたことは、時間がゆっくり流れているということです。ここには、街のざわめきも、巷の喧噪も、バイクの騒音も、忙しい地下鉄も、競い合う学習塾も、大好きなマクドナルドのシェイクさえありません。あるのは鳥のさえずりや時々通る列車の音などです。それを聴きながら、森のリズムにまかせてゆったりと生活するのです。
 札幌では常に時間に追われ、人間本来のリズムや感覚を忘れていましたが、音威子府では、空気の変化にさえ敏感になります。それは生徒にとっても同じことだと思います。地下鉄やバスにゆられて通学する必要もなく、遠くへ出かけなくてもすぐそこに友達や先生がいます。ここには必要なものがいつも目の前にあります。なにより、自分をゆっくりみつめ直す貴重な時間があるのです。
(平成18年5月31日号より)
# by manabinomori | 2006-05-31 10:02
6SENSE旭川展(おといねっぷ美術工芸高等学校教職員作品展)
                        <出品者>
                        谷   秀樹
                        野村 幸伸
                        河野 昌一
                        前田 健浩
                        柴田 題寛
                        手塚 昌広
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                     Sony DSC-R1 にて撮影
# by manabinomori | 2006-05-30 09:09 | おと高&音威子府村
音威子府から美の発信
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 昔のことではありますが、高校の美術教師の中には準備室にキャンバスを持ち込み、せっせと自分の作品ばかり描いている人がいました。授業はするけど学年や分掌等の仕事はまったくせず、職員室に顔も見せません。確かに彼は有能な画家だったかも知れませんが、教育者としては失格です。学校の仕事は組織で動いているわけで、自分勝手な行動は許されません。まして勤務時間に絵ばかり描いていれば、他教科の教師からの信頼は得られないでしょう。こういう人がいたために、美術教師は仕事ができない、変わった人が多いといわれたことがありました。
 時代の流れの中で、美術教師は芸術家であるよりも教師であることが強く求められるようになります。しかもしだいに仕事が忙しくなり、いつのまにか美術教師は芸術家であることをやめてしまいました。もちろん中には団体展に出品したり個展を開催している人もいますが、その数は以前とは比較になりません。こうして美術教師に芸術家としのパワーがなくなり、そこから個性が消えていったのです。ところが不思議なことに、そういう時代になると、逆に芸術やスポーツの分野で一芸に秀でた人を教師にしようと教員採用試験に特別枠が設置されるから不思議です。昨年は著名な実績をあげた書道家が採用されたはずです。
 こうした中で、本校の工芸科教師6名が積極的に作品を発表しました。生徒や保護者の視点に立てば、自分たちの先生がアーティストとしても活躍していることは魅力的です。また芸術科の教師である以上、作品を制作したり発表することは自己の研修にもなり、その経験は授業や部活動に生かされ、生徒にとっても大きな刺激になるはずです。本校のよう学校であればなおさらです。一点の作品によって、生徒や保護者の意識が変わることは十分考えられます。
 文化庁は平成18年度予算で「世界を魅了する存在感のある日本を実現するため、地域文化の振興や日本文化の海外発信及びこれを担うこどもの文化芸術体験を充実させ、文化力の向上を図る」文化芸術立国プロジェクトを立ち上げました。本校に勤務していた工芸科の教師は、これまでも村のアーティストとして様々な活動をして来ましたが、これからはより地域文化を活性化させるアーティストとしての役割も期待されるのではないかと思います。
 さて、5月2日から6日間、旭川市「デザインギャラリー」において開催された「おといねっぷ美術工芸高校教職員作品展/6SENSE」ですが、もともとは教職員の技術向上と学校のPRをかねて天塩川温泉と道の駅で開催していたものです。倉庫を改装したお洒落なギャラリーに、木工芸、油彩画、日本画など、幅広いジャンルの作品約70点を展示しました。保護者の方も熱心に鑑賞していましたが、私はその質の高さと意欲に心から感動しました。
(平成18年5月22日号より)
# by manabinomori | 2006-05-30 08:58 | おと高&音威子府村
もうひとつのミュージアム
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 先日、観光客が5・6人で本校を訪れました。その日は休日で、寮の方では新入生歓迎会が行われていました。教職員はみなそちらに行っていて、たまたま私と教頭が校務の打合せをするため本校にもどったところでした。「何か用事ですか?」と聞いてみると、「先ほどエコミュージアムおさしまを訪れたのですが、もし高校に車が止まっていれば誰かいますので、そこの作品も鑑賞できますよ」と言われ来てみましたとのことでした。突然の来校に私たちはとまどいましたが、美術館で作品を見るように高校を訪れていただけるというのはこれまでにない体験でした。
 大阪からこられたというその人達は、多目的ホールにある作品や制作中のカヌーなどを熱心に鑑賞し「高校生が3年間でこんな立派な作品を作れるなんて素晴らしいですね」と言って帰られました。このような大きな展示施設を持っている高校はそうはあるものではありません。本校は高校でありながら地域の文化センターとしての役割を担っているのだということをあらためて認識させられた出来事でした。

 さて、どこの学校でも玄関とホールはその学校の顔であり、教育の始まりと終わりを意識させる大切な場所です。以前勤務した高校の中には、校舎がとても古く玄関や廊下が暗いところがありました。もちろんホールと呼べるようなスペースはまったくなく、巡回しているとこちらの心まで暗くなってしまうような校舎でした。そういう高校を経験すると、いかに本校が恵まれているかがわかります。玄関と1階多目的ホールは明るく、吹き抜けがあり開放感に満ちていますし、2階ホールから1階ホールへの眺めは最高です。
 荒れ気味の高校に勤務していたときのことです。そこでは毎日のように問題行動が発生し対応におわれていました。ところが新校舎が完成し、明るく開放的な校舎に移ると、あっという間に落ち着いた高校になってしまいました。これには驚きました。もしかすると私たちが考えている以上に、校舎は生徒の精神面に大きな影響を与えているのかも知れません。
 サッポロファクトリーという商業施設がありますが、もしそこにアトリウムがなかったらどうでしょうか。きっとつまらない建物になっていたと思います。巨大な空間があることによって、私たちはそこがサッポロファクトリーであることを認識し、来たことの喜びを感じ取ることができるのです。あの広さが心を豊かにしてくれるのです。空間は人間の心理に大きな影響を与えます。例えば、狭い空間に数日閉じこめらただけで、私たちは精神的に強いダメージを受けます。
 10年ぐらい前になりますが、本校に勤務していた松井茂樹先生の案内で、私は一度だけ本校を訪れたことがありました。その時の印象は強烈でした。ホールの広さと床を埋め尽くす作品に圧倒され、ここは本当に高校なんだろうかと自問自答したぐらいです。
 各階のホールや廊下に生徒の作品を展示し、いつでも鑑賞できることは、生徒にとって幸せなことであり、刺激的なことでもあります。ときどきそれらの作品を参考にするため、スケッチブックやメジャーを持って現れる生徒もいます。彼らにとっては、それらが目標であり、教科書でもあるのです。
 フランスのオルセー美術館には学生が毎日のように訪れ、絵を研究したりスケッチブックに模写したりしています。まさにそれと同じです。(平成18年5月22日号より)
# by manabinomori | 2006-05-30 08:54 | おと高 学校経営
音威子府について
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1 歴史は咲来から始まった
 『村史』を読んで驚いたことは、村の歴史が音威子府からではなく、咲来の入植から始まったということです。しかも前身である常盤村時代の役場は咲来にあったというのも意外な事実でした。「さっくる」とはアイヌ語で「夏の道」を意味するとのことで、実に響きが良く美しい地名です。あて字のセンスの良さも含めて、私には日本一の地名に感じられます。「夏の道(サク.・ル)」があるのなら「冬の道(マタ・ル)」もあるはずだと、昭和52年に本校の地名調査部(顧問は高橋基)がアイヌ語地名調査を実施し、それを確認したというのも嬉しいことです。今年は咲来小学校の開校百周年にあたりますが、あらためて歴史の重みを感じさせてくれます。
2 豪雪地帯だった
 本校教師として昭和40年から5年間在籍し、芥川賞候補にもなった吉原達男が書いた小説に「雪埋ずむ」があります。その題名に象徴されるように本村はまれにみる豪雪地帯です。国鉄時代には、音威子府駅構内の除雪のために常時50~60人の人夫が雇用され、大雪や吹雪で線路が不通になったときは300人以上も動員され、「雪が降ると米が降ってきた」と喜んだそうです。こんな豪雪地帯とは、誰も教えてくれませんでした。どうやら村の歴史は雪とともにあったようです。
3 村長が本校で教えていた
 昭和39年から約8年間、現村長の千見寺正幸さんが、本校の実習助手として教壇に立たれていたというのも驚きでした。特に自動車の授業については村長さんが担当され、授業だけでは間に合わず、朝と夜まで指導にあたられたそうです。教育に対する意欲と情熱がなければできないことです。そのことは、生徒の作品完成のために遅くまで指導する今の本校にも受け継がれているような気がします。
4 温泉がある
 常磐鉱泉(天塩川温泉)は、もともとは飲用薬として発売されていたようです。それが湧き水付近に小屋を建て浴用として経営され、しばらくして村が権利を買い取り現在の保養センターになったとのことです。適応症の一つとして、浴用がヒステリー及び神経衰弱というのが凄い。すでに何度が利用させいただきましたが、村に温泉があるというのは良いことです。定期バスが出ているのもありがたい。もしこれが札幌にあれば連日超満員になることは間違いない。きれいな施設なので、もっと道民にアピールしてもよいのではないかと思ったりします。
5 ビッキが愛した村
 もう昔のことなので、はっきりと記憶しているわけではありませんが、私は一度だけビッキに会ったことがあります。その日はたまたま街に出ていて、いつものように絵を見るため札幌の大同ギャラリーに入りました。会場では林弘堯(道展)さんとビッキによる2人展が開催されており、2人の作品がお互いに強く主張し合い独特の空間をつりあげていました。鑑賞して帰ろうとすると、林さんとビッキが現れ3人で飲みに行くことになりました。林さんとは親しかったのですが、ビッキとは初対面なので少し緊張していました。話が進み酒が入るにつれ、どうしたことかビッキの様子が一変しました。きっと彼を知っている人にしてみればいつものことかも知れませんが、私には耐えらない状態になりました。店を出て一緒に飲んだことを後悔しました。それが最初で最後の出会いです。
 そして今、私はビッキが愛した音威子府にいます。校長室にはビッキの画集が何冊か置かれていて、時々鑑賞しています。特に彼の素描集「北の女」は興味深く何度も見ました。そこからはビッキらしい大胆さと、ぎこちなさ、そして思わぬ繊細さに触れることができます。まるでイゴン・シーレの素描から肉を剥ぎ取ったようでもあります。女性を愛し続けたビッキらしい作品集とも言えるでしょう。
 ここには、あの日には決して見ることができなかったビッキがいます。
 (平成18年4月28日号より)
# by manabinomori | 2006-05-29 17:57 | おと高&音威子府村
学びの森から創造と感動を
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 新年度がスタートして1ヶ月が過ぎました。この間、始業式、入寮式、入学式、PTA体文総会、対面式、新入生オリエンテーション、見学旅行…と、様々な行事がありました。新入生は学校にも慣れ、授業や部活動に明るく取り組んでいますし、2・3年生は上級生らしい頑張りを見せています。見学旅行については予定していた目的を終え全員元気に帰ることができました。これもひとえに保護者や村民の皆さんのお力添えがあってのことです。心から感謝申し上げます。 
 さて、このたび校長室だより「学びの森」を発行することにいたしました。本校ではこれまでも学校だよりを年数回発行し、学校情報の提供に努めてまいりましたが、さらに学校理解を図るために、別の視点から生徒の状況や教育活動についてお知らせし、村の文化にも寄与できればと考えています。
 本校は道内で唯一の工芸科設置校です。そこには「森と匠の村」という音威子府の特色を生かしながら、村の文化を全道へ発信して行こうとするねらいが感じられます。つまり本校には、高等学校という教育機関としての役割と、村の文化を活性化させるという2つの役割が求められているように思います。
 幸いなことに、村民のみなさんの多大なるご支援もあり、工芸部や美術部は高文連全国大会の常連校として有名になりました。全国大会の出場回数はおそらく全道一だと思います。一方ではクロスカントリースキー部の全国2連覇という偉業もありました。
 これらの伝統を踏まえながら、さらに本校が発展できることを願って、ささやかではありますが「学びの森」の発行を考えました。「学びの森」というタイトルは「音威子府(森)にある学校(学び)」という意味ですが、もっと言えば「人と自然とのかかわり(森)の中からこそ真の教育(学び)が生まれる」という意味でもあります。「音威子府にある学びの森には創造と感動がいっぱいだ!」と言われるように頑張って行きたいと思っています。
 本校には全道・全国各地から生徒が集まってきています。生徒一人ひとりの顔が違うように、それぞれの本校に対する思いも違います。親や友達から離れる不安とともに、一方ではそれぞれが夢と希望を持って入学式に臨んだはずです。そのことを大切にしてあげたいと思います。
 本人は気づいてないかも知れませんが、生徒一人ひとりには素晴らしい能力が隠されています。それを見つけ、誉めて、伸ばし、自信を与えてやるのが私たちの仕事です。生徒はいつも自分を認めて欲しいという欲求を持っています。それは人間である限り誰もが持つ欲求かも知れません。そのことを理解し、一人ひとりの個性を伸ばしてあげたいと思っています。大きな学校ではできないことも本校では可能であり、教職員が一丸となってきめ細かく指導できます。
 寮の指導は大変ですが、ここでの指導は重要です。教職員全員でシフト体制を組み、泊まりがけで指導にあたっています。それを支えているのが、成田和夫寮監をはじめとするチセネシリ寮スタッフの熱心な指導です。これが本校の教育を支えています。学校内で解決できない問題も、ここでは時間をかけて解決することができます。村の方から「高校生は元気に挨拶ができて立派だね」とお褒めの言葉をいただきましたが、これは寮による熱心な指導の成果でもあります。
 本校の教職員は若くベテランがほとんどいません。しかし、どこの学校にも負けないぐらい生き生きしています。何よりそれぞれが個性的で、優れた能力を持っています。美術工芸の教師は実習助手を含めて6人もいます。これは生徒にとって大変幸せなことです。その6人によるグループ展「6センス」が5月上旬に旭川市のデザインギャラリーで開催されます。作品のほとんどは天塩川温泉や道の駅で発表したものですが、その質の高さとエネルギーは他では考えられないものです。全国的にも例がないこうした取り組みができることこそが、本校の良さでもあります。(平成18年4月28日号より)
# by manabinomori | 2006-05-29 15:02 | おと高 学校経営