伽井丹彌~世界を魅了する力
人形作家 伽井丹彌(かい あけみ)さんのホームページが更新されました。今夜はそのエッセンスの一部を紹介させていただきます。
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これは昨年の北海道新聞夕刊(十勝帯広版5月24日号)の一面を飾った記事とともに掲載された写真です。ここには私が知りたかったことが詳しく書かれています。興味深いのは、人形作家になったきっかけです。東京への高校卒業旅行でエコール・ド・シモン(四谷シモン人形学校の)広告を見て「球体関節人形」へのあこがれが生まれたこと、交通事故を機にエコール・ド・シモンで学んだこと、帯広にもどられてからは独学で人形制作を進めていること、そしてベルメールを研究したことなどが書かれています。なるほどと思わせるのは、カンヌ映画祭で上映された鈴木清順監督の『オペレッタ狸御殿』の仮面を制作したというところです。私は鈴木清順監督の映画が大好きで、特に日本的な独特の色彩に美学を感じていました。『ツィゴイネルワイゼン』、『夢二』は日本の映像美を代表する傑作だと思っています。その美に近いものを伽井さんから感じていたのですが、この記事を読んで納得しました。鈴木清順監督が求める美とは、伽井さんの求める美そのものだったのですね。
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これも新聞に掲載されていた写真で、京都市内の鞍馬山で制作した人形と一緒に撮影されたものです。人形も素晴らしいのですが、彼女のこのような表現方法もまた魅力的なのです。色彩のコントラスト、自分と人形(もう一人の自分)とのコントラスト、それは彼女ならではの世界です。「虚実をテーマに、人形の前で作者である自分が踊るという舞台を演出することが私のオリジナリティー」と述べていますが、この作品(写真)にもそれに通じるものがあります。できれば、それを映像化する仕事を私にさせていただけませんか?そう感じるほど魅力的です。
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これは「フロンティア~道東の美術の現在~」に出展された新作です。洗練され、よりエロスを意識させるものになっています。その美しさは人間以上かも知れません。
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左は「第12回伽井丹彌創作人形教室展」、右は「花と環境アート2008」に出展された作品です。ともに手の表情が巧妙で、人形をより魅力的なものにしています。

以前も書きましたが、伽井さんの作品には世界を魅了する力があります。日本の伝統的な美を意識させながら、さらに人間の本質に迫ろうとする強さがあります。それは欧米人にとって、浮世絵と同様に斬新なものにうつるに違いありません。ぜひ、パリ、ロンドン、ベルリン、ストックホルムなどで個展を開催して欲しいですね。間違いなく大成功をおさめると思います。願わくば、さらに妖艶な作品を期待したいところです。これからのご活躍をお祈り申し上げます。
(画像は全て伽井さんのホームページより転載させていただきました)
by manabinomori | 2009-03-05 20:00 | 美術展
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