山口篷春『白梅』
山口篷春『白梅』_b0108779_17153845.jpg
山口蓬春カレンダー2月は、蓬春64歳、昭和32年(1957年)に描かれた『白梅』です。アサヒグラフ別冊では『梅』というタイトルになっています。同誌に美術評論家、河北倫明がこの時代の蓬春の作品について次のように紹介しています。

「ちょうど、現代日本の衣食住が表面的には大きく西洋化しながらも、その快適なものは実は日本流のこまやかさ、淡泊さ、清雅な味わいなど巧妙に接合しているように、蓬春芸術の場合も、こうして西洋近代風の諸要素が要領よく日本的なものと接合され、手際よく磨き込まれているといってよかろう。」

蓬春による「新日本画」の創造は、外国の文化を吸収しながらも、本来日本画が持っている美しさを、より造形的な視点から見つめ直していったものではないかと思います。この『白梅』の美しさはまさに蓬春ならではの感性によって創り出されたものです。蓬春の生家は、松前城の二の丸跡に建っていたようです。蓬春は7歳まで、ここから松前城、美しい海、そして町並みを見て育ちました。このことは、彼の感性を高めることにつながったはずです。
by manabinomori | 2010-02-22 18:08 | 松前の文化と自然
<< エリック・サティ 札幌大学のHPに掲載されました >>