るろうに剣心 京都大火編/伝説の最後編
るろうに剣心 京都大火編/伝説の最後編_b0108779_22482753.jpg
「キネマ旬報」などを読まれている人にとっては、ただのアクション映画としてかた片付けられることでしょう。しかし私にとっての『るろうに剣心』は、エンターテイメント作品としての魅力が強く感じられ、絶対に観てやろうと思った作品でした。こんな気持ちにさせてくれたのは2006年に公開された『デスノート』以来かも知れません。先ずは、2012年に公開された第一作の『るろうに剣心』(これはまあまあ)をレンタルビデオショップで借りてきました。シリーズである以上は観ておく必要があると思ったからです。そして、第二作『京都大火編』と第三作『伝説の最後編』を映画館で観ました。

正直言って期待以上のおもしろさがありました。ジョージ・ルーカス監督の『スターウォーズ』は黒澤明監督の『隠し砦の三悪人』などがベースになっています。さらに、ルークとダース・ベイダーの戦いで使われたライトセーバーは明らかに日本の刀を意識しています。その『スターウォーズ』の再来が『るろうに剣心』ではないかと思ってしまいました。それぐらいおもしろい映画でした。今日考え得る最高のエンターテイメント作品の一つではないかと思います。

この映画の魅力は5点上げられます。一つは俳優の魅力です。緋村剣心役の佐藤健は今日のヒーローに相応しい容貌とアクションを持っています。観客が素直に感情移入できてしまう才能があります。神谷薫役の武井咲は美しい。彼女の瞳と心はこの作品のアクセントになっています。誰もが求める理想世界がそこにあります。また、四乃森蒼紫役の伊勢谷友介は適役で最高のアクションを見せてくれます。服装を含めとびきりの個性が出ています。他の役者も含め、これらの個性は『スターウォーズ』に負けないぐらい輝いています。二つ目は映像の魅力です。決闘シーンにおけるスピード感やアングルはハリウッドに負けてはいません。随所に盛り込まれた映像美も印象に残ります。これも大切なポイントです。三つ目は音楽の効果です。佐藤直紀の音楽は攻撃的でありながらも極めて美しい。特に「飛天 ~伝説の最期~」は圧巻という他ありません。今後、海外でのヒットを予見させます。四つ目は映画の楽しさを世代を超えて共有できることです。スリリングでありながらも安心して観ていられる良さがあります。そして最後は大友啓史監督の才能の豊かさです。時代が生み出した切り札のように思えてなりません。これまでになかった日本映画を創造できる天才といっても大袈裟ではないでしょう。クライマックスからエンディングのつめが甘いかなとも思いますが、まあよしとしましょう。

シリーズ第四作もあり得ると思いました。
(画像は公式サイトより)
by manabinomori | 2014-10-01 22:49 | 映画
<< サン・ピエトロ大聖堂 EGMONT NATURE 写真展 >>