書籍の装丁について
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書籍の装丁(カバーデザイン)でこだわりのあるものの一つに展覧会の図録があります。画集や美術書ともいえるこれらのデザインは、デザイナーにとってやりがいのある仕事に違いありません。上の写真は「フランシス・ベーコン展」(2013)のもので、背表紙と裏表紙をオレンジにしたとても美しいレイアウトになっています。作品『ジョージ・ダイアの三習作』とタイトル・フォントとのバランスが美しい。黒によって知的なイメージを与えています。
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本文組み(ブックデザイン)はデザイナーの本領が発揮される仕事の一つですが、この図録では今日のトレンドでもある「読みやすい大きさのフォント」を使っていません。行間を広くとったり、ゴシック体を使うなど、「読みやすさ」を意識しているようにも思えますが、高齢者が読むのには厳しい大きさです。解説が読みやすい文体になっていることを考えると、フォントについても配慮すべき時代が来たのではないかと思います。このレイアウトは図録の定番ともいえるようなスタイルで構成され安定しています。つまり読みやすい位置に本文を配置し、その下に関連した作品を配置しています。ホワイトスペースも効果的です。ところで、最近では「ガウディ展」(2014)や「フジタ展」(2013)のように、大胆なレイアウトで大きなフォントを使う図録も登場しています。この流れは間違いなく加速するものと思われます。
by manabinomori | 2016-01-25 21:37 | 石塚耕一研究室
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