ヴィーナスの誕生 サンドロ・ボッティチェッリが『ヴィーナスの誕生』を描いたのは、その後の文化・精神に大きな影響を与えたルネサンス期のことである。「風の神ゼフュロスとクロリスが、貝に乗ったヴィーナスを岸辺へと運び、赤いローブを持った妖精が待ち受ける」というギリシャ神話を、ボッティチェッリは美の象徴として描き、それは時代を超えて今なお特別な意味を持ち続けている。 フィレンツェのウフィッツィ美術館で『ヴィーナスの誕生』を観たとき、不思議な感覚を覚えた。それは想像していた以上に大きく、それまで指摘されていた「長すぎる首」、「落ちた肩」、「不自然な左腕」への違和感が感じられなかったことである。つまり、この作品は実物大で観ることによって、その世界観を体験できるようになっているのだ。 私たちは、なぜ『ヴィーナスの誕生』に惹かれるのだろうか。考え得る理由は二つある。一つは、その顔と体が極めて美しいフォルムで描かれていることだ。それは意識的なデフォルメによって、さらに優雅で印象的なものへと高められている。もう一つは、ボッティチェッリならではの演出が画面全体になされていることだ。ヴィーナスを中心にモチーフの配置や構図に美的な遊び心が感じられる。レオナルド・ダ・ヴィンチの『受胎告知』が理論的で最高の技術で描かれているとするならば、『ヴィーナスの誕生』には人間らしい痕跡が散りばめられている。それが私たちの感性を刺激するのだ。 本展の作品は、その『ヴィーナスの誕生』をベースに制作した。写真という全てを正確に写し取る装置を使いながら、そこに絵画的な要素を取り入れている。レタッチの作業では困惑することもあったが、新たな発見が多く創造的な作業になった。モデルを担当した皆様には心より感謝したい。それなくしてポートレートは成立しない。 写真は可能性に満ちている。その一端に触れていただければ幸いです。
by manabinomori
| 2017-08-08 10:30
| 個展2017
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