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母が倒れてから眠れない日々が続いていた。5月27日(水)の朝、いつものように目覚めてベッドから出ようとすると、強いめまいがして床に倒れた。起き上がろうとしても、それを許さないほどの強さだ。しばらく身体が復活するのを待った。その時、集中治療室で苦しむ母の姿が見えた。そしてこのめまいは、母の苦しみであり、母が私を呼んでいるものだと直感した。しかし、いますぐ行くことはできない。高体連の当番校業務がある。仕事の大切さは母がもっとも理解している。必ず行くからそれまで頑張って欲しいと祈り続けた。

5月28日(木)、予定通り高体連柔道大会がスタートした。当番校長挨拶が終了すると、私は携帯電話を取り出し病院に電話した。
「母の状態はどうですか?」
「危険な状態です。熱が下がりません。人工呼吸器をつけました。」
「意識はあるんですか?」
「…。」
「明日の午前中に病院に行きます。意識がなくても母の耳元で、『息子がくるよ』と、何度か囁いて下さい。」

いつも母は私を待ち続けていた。高校時代は下宿先から帰省する日を。大学時代は夏休みと冬休みに帰省する日を。教員になってからは年末や夏に帰省する日を。結婚して子どもが生まれてからは夏に帰省する日を。それを出迎えてくれる時の嬉しそうな表情を忘れることはできない。電話で「何日に帰るから」と伝えるだけで、その表情が連想できた。それが母なのである。だから、私が行くまではどんなに苦しくても頑張ってくれると信じていた。私と母は、目に見えない心の糸のようなものでつながれているのである。

公宅にもどり、全ての準備をして札幌に向かった。そこから母が入院している病院まではさらに5時間もかかるので、その日は札幌の自宅に泊まることにした。車を運転していると、母のこれまでの苦労が思い出され、涙が止まらなかった。大滝村(現在は伊達市)で父と連絡がとれた。午後から院長さんに呼ばれ、「熱が下がらない。このケースの場合は覚悟して下さい」との説明を受けた。父は動揺していた。札幌の自宅に着くと、子供達をそれぞれ私の部屋に呼んで説明した。母への思いを伝え、何かあった場合の対応、そして母へのメッセージを書くように伝えた。母は子供達と数年も会っていない。あれほど会うことを楽しみにしていたのに、連れて行かなかったことを悔やんだ。なんて親不孝な息子なんだろう。

29日(金)、早朝に札幌を出た。とにかく1分1秒でも早く病院に着きたかった。例え意識がなくても、生きてさえいれば、耳元で話した言葉は、必ず母に伝わると思っていたからだ。病院に着くと、そこには変わり果てた母の姿があった。私は母の手を握り、ゆっくり話しかけた。そして子供達のメッセージを読んだ。少し反応がみられ、ニコッと笑った。回復してきたのだ。この日は3度面会し、同じ事を繰り返した。翌日行ってみると、なんと体温が下がり、苦しそうではあるが、私の話を嬉しそうに聞けるようになった。マツゲについていたゴミをとって上げると、表情を変化させた。とても嬉しくて、父と喜んだ。

最後の面会で、私は母に、「ありがとう。とても感謝しているよ」と言いたかった。でも言えなかった。なぜならそれを言ってしまうと永遠の別れになってしまうようで怖かったからだ。そして今日。松前にもどる途中の八雲で、父から連絡が入った。母の容体が急変したとのことである。この2・3日が山場のようだ。田舎道の峠から江差に出ると、これまで見たこともないような穏やかで美しい海と空が見えた。そしてその瞬間、そこに母がいるように思えた。いや間違いなくそこにいた。いつもの笑顔で。
by manabinomori | 2009-05-31 23:08 | 雑感
青空に
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母が倒れた。私は母がもっとも喜ぶであろうものをもって母の所に行く。それが奇跡を生み出す力になると信じているから。そして、これまで伝えることができなかった、たくさんのことを話したい。
by manabinomori | 2009-05-28 22:01 | 雑感
放課後
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図書室です。「原寸美術館」があります。名画を原寸で見ることができます。これはいい本です。図書局の生徒がカレンダーをつくるなど活動していました。
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3年生の教室では漢字検定に向けて勉強しています。
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スカート丈の指導は悩みの種です。こんな取り組みをしています。
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3階の教室から見える津軽半島です。驚くほど近く感じます。
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上の写真は、地図のA(松前)から南方を見ている感じです。本校が青森県立大間高校より南にあることも確認できます。
by manabinomori | 2009-05-27 17:41 | 松前高
当番校
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明日から本校を会場に、高体連柔道選手権函館支部予選会が始まります。今日はその準備がありました。昨日は福島町総合体育館から緑畳50枚を借りてきましたが、今日は函館中部と工業高校の部員の協力を得ながら会場設営です。さすが柔道部と感じるのは、黙々と仕事をするところです。立派でした。
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これは、本校柔道部が格技場を清掃しているところです。明日は、団体と個人1~2回戦が予定されています。活躍が期待されます。
by manabinomori | 2009-05-27 17:38 | 松前高
高校美術教育への提言
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松前に来てからよく読んでいる本があります。それは日本文教出版が昭和58年に非売品として出版した「高校美術教育への提言」というミニ冊子です。当時の、共立女子大教授/友部 直、多摩美術大学教授/東野芳明、東京芸術大学助教授/若菜みどり、朝日新聞社学芸部記者/米倉 守、武蔵野美術大学教授/前田常作、栃木県立美術館館長/大島清次、G・Kインダストリアルデザイン研究所所長/栄久庵憲司、東京芸術大学長/山本正男というそうそうたるメンバーによる提言集です。

栄久庵憲司は、「高校時代に身につけた基本的な美意識は、将来必ず、事業をおこしたり、ものを作ったり、政治を司ったりする際にプラスされるはずである。(中略) 美術教育を必修とし、たしなみとして美意識を磨き上げ、高めていくことは、明日の日本を考えていくうえでの大きな課題である。」

山本正男は、「美術教育の根本は美的教育、美的な人間形成にほかならず、したがってまた美術教育の基礎づけの学は、美的人間学としての美学にならざるをえない。」

友部 直は、「美術教育は、結局は人間形成のためのものだと私は考えている。そして、美術を含め芸術とは、何よりもまず人間の精神的所産であるから、描くもの、作るもの、つまり人間が常にその根底にある。」

東野芳明は、「美術教育を語る資格がない」としながら、「受験戦争という現実の中では、全くの絵空事にすぎない。」

若菜みどりは、「美的感受性は、倫理的精神、理論的思考と同列に、教育の三位一体として、同列の重要性をもっているし、つねにもたなければならない。そのいずれかが欠けても、今後世界の中で日本は三流の存在として軽蔑と非難の中にさらされるにちがいないのである。」

米倉 守は、「美術教育への提言など無理である」としながら、「価値はあものではなく、いつも創るものなのであろう。」

前田常作は、「美術教育は何より豊かな人間性の形成にある。自主的な創造性を、美的情緒を養う教科が美術である。」

大島清次は、「日本の美術界は、なぜ学校美術教育に無関心なのだろう。(中略) 学校に美術館教育はなく、美術館に学校教育がないのだ。」

特に、若菜の指摘は私を元気づけます。
by manabinomori | 2009-05-26 23:42 | 教育 美術教育
雑感
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今朝の生徒玄関です。これから朝読書が始まるところです。いつも思うのですが、道立高校の校舎ってつまらないですね。私が訪問したヨーロッパやアメリカの校舎と比較すると、デザインや色彩に対するセンスが感じられません。
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これはスウェーデンのバルデマシュビークという小さな村にある高校の廊下です。壁やドアの色、そして照明に注目して下さい。椅子や机だってお洒落です。日本は先進国と言われていますが、残念ながら教育施設は欧米とは比較になりません。
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さて、今日は松前中学校の体育祭がありました。中学生の元気に走る姿を見ていると、さすが松前の中学生という気迫と純朴さを感じます。のどかで、保護者の皆さんも楽しそうに応援していました。
by manabinomori | 2009-05-26 18:51 | 松前高
学校情報の提供
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バドミントン部の大会が終了しました。結果はともあれ頑張ったとのことです。満足できるゲームができれば十分です。1・2年生はこの経験を秋の新人戦につなげてくれると思います。

さて、本校ではこのブログを閲覧できません。アップすることもできません。したがいまして、どうしてもブログを書こうとする意欲が薄れます。写真撮影も着任してから激減してしまいました。ただ、保護者や地域の皆様が少しずつではありますが、ブログに関心を示して下さるようになり、かろうじて続けているという感じです。小中学校は、定期的に学校だよりを発行し、学校情報の提供を図っています。本校も負けてはいられません。もうすぐ校長室だより『さくら船』が町内に配布されますが、学校だよりも定期的に発行できればと思っています。学校情報の提供は、地域の学校理解につながり、本校の教育活動を活性化させます。
by manabinomori | 2009-05-25 20:55 | 松前高 学校経営
北前船寄港地フォーラムin松前
5月22日(金)、「新時代の、北前千浪漫を求めて」というテーマで、『第4回北前船寄港地フォーラムin松前』が開催されました。すでに紹介させていただいたように全国、全道、町内から多くの皆様が参加され、熱気溢れるフォーラムになりました。大成功だったと思います。
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私がもっとも楽しみにしていたのが、アトラクションで披露されることになっていた『松前神楽』(国選択無形民俗文化財・北海道指定無形文化財)でした。松前神楽は、1674(延宝2)年、松前藩第6代藩主矩広(のりひろ)が藩の行事として行ったのが始まりとされ、現在も主に道南地域の神社において祭礼の祭に踊られています。「古くから大切に受け継がれてきた舞は美しく、重厚で高雅な世界観を見せてくれる」(フォーラムのパンフ)とあります。確かにその舞や音楽は優雅できらびやかでした。
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次に、北海道生まれの民謡歌手で、江差追分等の日本民謡の大御所といわれている佐々木基晴さんの歌がありました。「松前のお殿様は優しいことで有名でした」とおっしゃりながら、松前の民謡を熱唱されました。松前にはこんなに誇るべき文化があったのです。まさに北海道の政治、経済、文化の中心であったことを実感します。
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アトラクションが終了すると、主催者の挨拶等があり、基調講演、「観光立国推進と観光資源の活用」(観光庁/水嶋智課長)、「北海道新幹線と開業までの課題」(JR北海道/中島尚俊社長)、そしてパネルディスカッションと続きました。前田一男町長のお話はいつ聴いてもほれぼれします。町づくりにかける思いが伝わります。講演も興味深い内容でした。
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会場には、『松前屏風』(1751~1763)が展示され、多くの人の注目を集めていました。実際に近くで見ると素晴らしいのひと言です。この作品を直に観られるだけでも参加した意味があります。細部まで撮影しましたので、そのうち紹介します。
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江戸の手工芸の最高の逸品といわれる『梅園家化粧箱』です。ここで出会えるとは思ってもみませんでした。日本の伝統工芸の技術力を感じさせます。
by manabinomori | 2009-05-24 14:30 | 松前の文化と自然
観光ボランティア
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北前船寄港地フォーラムが始まる前、本校生がご来賓の皆様を観光ガイドしました。
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担当したのは、これまで観光ガイドを学んできた生徒会の4人の生徒です。
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雨の松前城もいいものです。聞きやすく丁寧なガイドです。
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笑顔がいいですね。虎の巻なしです。すべて頭の中に入っています。
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「光善寺」です。高校生がガイドをするだけで明るくなります。
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雨は、散った桜を美しく浮かび上がらせます。
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もっとも難しい「血脈桜伝説」もしっかり説明していました。
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矢野旅館で解散です。とてもよいガイドでしたね。来賓の皆様から大きな拍手をいただきました。よかったですね。そしてお疲れ様でした。ご指導いただきました松前町と観光協会の皆様に心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
by manabinomori | 2009-05-23 19:49 | 松前高 観光ボランティア
やっと見ることができました
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おといねっぷ美術工芸高校が紹介された『にっぽん熱中クラブ』をやっと見ることができました。本校職員が録画して下さったもので、札幌の自宅に入ったばかりのBDレコーダーで再生してみました。はたして、パナソニックのBDレコーダー(AVCモード)でDVDディスクに録画したものが、ソニーのBDレコーダーで再生できるのでしょうか?その心配はまったく無用でした。問題なく再生できました。AVCモードでこれだけの画質が得られるのであれば、高価なBDディスクは普及しないかも知れないと思わせるほどです。だだし、AVCモードで録画されたDVDディスクはDVDプレイヤーでは再生できませんので、混乱が生じるかも知れません。

さて、『熱中クラブ』はとても楽しく見ることができました。活発で技術力のある工芸部の姿がしっかり描かれていました。部長はじめ部員の発言もよかったですね。『新日本紀行』の全国放送に続き、おと高をアピールする大きな力になったと思います。松高からみると羨ましいですね。ただ、卒業制作作品、美術工芸授業、美術部を、数分でいいから紹介して欲しかったですね。
by manabinomori | 2009-05-23 10:07 | 奇跡の学校